日本も、岸田首相が、「新たに5年間で最大100億ドルの追加支援を行う」と表明し、他の先進国にも協力を呼び掛けると話した。COP26に先立ち、日本は官民合わせて600億ドル規模の支援を表明しているが、拠出額をさらに拡大し、約700億ドルとする方針を示した。
 岸田首相は「アジア開発銀行などと協力し、アジアなどの脱炭素化支援の革新的な資金協力の枠組みの立ち上げに貢献する」と話した。

「世界リーダーズサミット」には岸田文雄首相も登壇した
「世界リーダーズサミット」には岸田文雄首相も登壇した

 他に英国も10億ポンドを追加し、ドイツのアンゲラ・メルケル首相も25年までに年60億ユーロに増額すると表明した。EU・欧州委員会のウルスラ・フォンデアライエン委員長は、27年までに50億ドルを拠出すると話した。こうした先進国による拠出額の積み増しで、「早ければ22年に1000億ドルに達する見通し」(日本政府の代表団)という。

 08年に決まった合意によれば、先進国全体で途上国に対し、20年まで毎年1000億ドルの「気候変動対策の資金」を動員することになっている。ただ、経済協力開発機構(OECD)の調査によれば19年の資金支援額は約800億ドルといい、この合意はこれまで達成されていない。加えて25年以降は、資金支援額を「最低で1000億ドル以上」に引き上げることが決まっており、COP26ではこの支援額も重要な議題の1つになっている。

 COP26は11月12日の会期終了まで、資金支援の他に、30年までの温室効果ガス削減目標の引き上げ(関連記事はこちら )や、パリ協定6条に示した「市場メカニズム」、同13条「透明性の枠組み」のルール策定(関連記事はこちら)などの議題で交渉が続く。

脱石炭を打ち出せず「化石賞」

 1国で5年間に約700億ドルもの支援を示した岸田首相のスピーチだが、NGO連合・気候アクションネットワーク(CAN)が気候変動対策に後ろ向きとみられた国に贈る「化石賞」を受賞した。脱石炭を訴える英国議長が主催するCOP26で、火力発電の活用に触れた岸田首相のスピーチは「悪目立ち」したようだ。

 岸田首相は、再生可能エネルギーを利用するにあたり太陽光発電が主体となるため、「周波数の安定管理のため、既存の火力発電をゼロエミッション化し、活用する」と話し、「化石火力を、アンモニア、水素などのゼロエミ火力に転換する」と説明した。メガソーラーの「周波数」など細かい話を持ち出し、再エネを増やすほど国内の電力供給を安定させるために必要に応じて火力発電も使わざるを得ないという、日本やアジアの事情を丁寧に伝えて理解を得ることが目的だったとみられる。だがそれが、かえって「化石資源を使う理由の説明」ととられたようだ。水素は天然ガス火力、アンモニアは石炭火力のゼロエミッション化に効果があるからだ。

 WWFジャパンの小西雅子氏は、「日本は、温室効果ガスの削減と資金支援で前向きな発言をしたが、火力発電の利用についても語った点に、目が集まってしまった。再エネの利用方針によりいっそう焦点を当てたスピーチで、国際社会に日本の姿勢を発信してほしかった」と話す。

 また、東京大学の高村ゆかり教授は、「日本も当面、他の国と同様に、化石燃料を使う既存の火力設備を使うものの50年までにカーボンニュートラルにしていくという方針を、時間軸と発電割合などの目標を明確にしながら発信するとよかっただろう」とみる。