非財務情報の開示を改善するため、基準や指標を整理する動きが活発化している。様々な団体による開示基準の乱立によって生じている混乱は解消されるのか。

 世界経済フォーラム(WEF)は2020年9月、非財務情報の開示の在り方に関する提言をまとめた報告書「ステークホルダー資本主義の進捗を測定~持続可能な価値創造のための共通の指標と一貫した報告を目指して~」を公表した。最大の特徴は、企業が開示すべき非財務情報の指標を示したこと。「ガバナンス」「地球環境」「従業員」「持続的成長」の4つの項目に分け、合計21個の指標を記載している(下の図)。

■ 世界経済フォーラムの報告書で提示された21の指標
■ 世界経済フォーラムの報告書で提示された21の指標
GRI:グローバル・レポーティング・イニシアティブ TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース CDSB:気候変動開示基準委員会 SASB:サステナビリティ会計基準審議会 US GAAP:米国会計基準 IFRS:国際財務報告基準。 項目の( )は、世界経済フォーラムJapanによる表記
(出所:KPMGジャパンの資料を基に作成)
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 例えば、ガバナンスでは「企業の目的」(企業が経済、環境、社会の問題にどのような解決を提案するか)、地球環境では「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の履行」(パリ協定の目標に沿った温室効果ガス削減目標へのコミットメント)といった指標がある。

 WEFがこうした指標を提示したのは、環境や地域社会、従業員といった幅広いステークホルダー(利害関係者)に配慮した経営を実践しているかどうかについて、企業を横並びで比較できるようにするためだ。

 KPMGジャパン統合報告センター・オブ・エクセレンスの芝坂佳子パートナーは、「WEFの報告書にある指標はグローバル企業なら最低限出してほしいものだ。これに自社の強みを訴える指標を加えて差別化する必要がある」と指摘する。