11月10日、米国と中国は共同で気候変動対策に取り組む「共同グラスゴー宣言」を発表した。2国の首席交渉官が同日夕方にそれぞれ開いた会見で明らかにした。中国はこの日、2022年に開催する気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)までに、温室効果ガスの1つであるメタンの野心的な行動計画を策定すると約束した。「重要な10年」と呼ばれる期間に、メタンの排出制御と削減で大きな削減効果を生み出すという。

 具体策として、メタンの排出抑制が言及された他、太陽光など再生可能エネルギーを利用するクリーンエネルギーへの移行や、エネルギーの需要の脱炭素化や電化、サーキュラーエコノミー、CO2回収・貯留(CCS)などを活用するクリーン・コール(石炭利用のCO2削減)、大気中のCO2を回収する大気直接回収(DAC)、そして森林破壊の抑制も挙げられた。

 会見を開いた米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使は、「ジョー・バイデン米大統領は数週間前、中国の習近平国家主席と会談し、方針が相反する分野もあるにもかかわらず、希望を表明するに至った」と明かした。

米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使
米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使

 一方、中国の気候変動問題担当特使を務める解振華氏は、「共同宣言により、中国と米国だけでなく、世界全体にとって有益な多くの重要なことを達成できる。 世界の大国、中国と米国は特別な国際的責任と義務を負っている。 我々は責任を負う必要がある」と話し、排出大国として温室効果ガス削減の責任があることを認めた。

中国の気候変動問題担当特使を務める解振華氏
中国の気候変動問題担当特使を務める解振華氏

 世界最大の温室効果ガス排出国である中国と、2位の米国が、貿易摩擦などを乗り越え、気候変動に関して建設的な合意に至ったのは歓迎できる。とはいえ、22年のCOP27までにどれだけ具体的で効果のある行動計画を中国が策定できるか。中国は、削減目標の策定のベースとなる温室効果ガスの排出源や排出実態の把握が不十分と、かねて指摘されてきた。現状の排出量を把握できていないなか、どれだけ信頼性の高い削減目標を残り1年で示せるか。米国、そして国際社会が、中国に行動を促せるかが鍵を握っている。