COP26の閉会に向けた全体会合(写真:UNFCCC_COP26_13Nov21_ClosingPlenary_KiaraWorth-9)
COP26の閉会に向けた全体会合(写真:UNFCCC_COP26_13Nov21_ClosingPlenary_KiaraWorth-9)

 英国グラスゴーで開催した気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は会期を1日延長して現地時間11月13日23時27分にすべての会議が終了した。19時42分ごろから始まった閉会に向けた全体会合では、1つめの文書が合意に至ったのを受けてアロック・シャルマCOP26議長が声を詰まらせる一幕もあった。

 「グラスゴー気候合意(仮訳)」との名で採択された文書では、当初「石炭の段階的な廃止」を盛り込み取り沙汰されたものの、インドなどの反発を受けて削減策のない石炭火力発電の「段階的な削減」のために努力を加速するといった表現にさらに弱められた。

 また、欧州連合(EU)などが強くこだわった今世紀末の温度上昇の抑制については「1.5°Cに制限する努力の追求を決意」との表現で残った。2015年に合意したパリ協定では「温度上昇を、2℃を十分に下回り、1.5℃に近づける努力をする」と盛り込まれたが、グラスゴー気候合意では「パリ協定の温度目標を再確認する」と前置きしながらも、1.5℃を強調する内容となった。インドは「パリ協定はすでに合意されたプロセスだ。それを上書きするべきでない」と反発を示していたが、最終的にシャルマ議長の采配で織り込んだ。

 また、「2022年末までに、30年までの温室効果ガス削減目標の再検討や強化を要請する」との文言も盛り込まれた。EUや米国、日本などは既に、21年4月までに1.5℃目標に整合する削減目標に強化している。今回の要請は、目標を引き上げていない国に限るものか、日本など既に強化した国にもさらなる引き上げを迫るものか、警戒する見方もある。

 COP26の主要な争点のうち、「市場メカニズム」を扱うパリ協定6条のルールもまとまった。国連が管理して発行するクレジットと、日本の2国間クレジット制度(JCM)のいずれでも、削減プロジェクトを行った国とクレジットを買った国とで削減実績を「二重計上(ダブルカウント)」することを防ぐ仕組みの採用が決まった。「日本の提案が、膠着してきた交渉の打開策となった」(日本政府交渉団)。

 京都議定書の時代のクリーン開発メカニズム(CDM)と呼ぶ、途上国での温室効果ガス削減プロジェクトで発行されたクレジットでは妥協することとなった。13~20年に発行されたクレジットが、30年までの削減目標の達成に利用できることが認められた。日本政府によれば、3億t規模の、過去の温室効果ガス削減事業による削減効果をクレジットとして利用できる。

 クレジットに関わるルール決定について、国際排出量取引協会(IETA)のディルク・フォリスターCEOは、「クレジット市場の拡大を支援する完全な枠組み」と評価している。

 25年以降の先進国から途上国に対する毎年1000億ドル以上の資金動員目標については、24年まで集中的に議論するプロセスを立ち上げることが決まった。また、25年までに先進国からの支援を19年の水準の2倍にすることも要請された。経済協力開発機構(OECD)によれば先進国による資金動員額は約800億ドル、国連の資金委員会によれば同年に約520億ドルだったという。

 途上国は、COP26で獲得を目指したいくつかの成果のうち、25年以降の資金支援額を決定するプロセスは獲得できたが、支援額のさらなる積み増しは逃した格好だ。環境NGO・FoEジャパンの小野寺ゆうり氏は「新型コロナウイルス感染症のまん延後、途上国には財政面で大きなダメージを負い、気候変動対策まで手が回らない国もある。これらの国の気候変動対策を支援することは、温度上昇の目標を達成するうえで必要」と指摘する。

 12月8日発売の「日経ESG」2022年1月号はCOP26の成果を詳解する。