東証一部上場企業の間で女性社外取締役を選任するところが増加傾向にある。ダイバーシティは改善されつつあるが社外に依存している実態が浮かび上がる。

 東証一部上場企業で女性社外取締役を選任している企業が927社となり、全体の約4割を占めることが分かった(2020年7月1日時点)。19年から約2割増えている。11年と比べると15倍になっており、ダイバーシティ(多様性)が急速に進んでいる。コーポレートガバナンス(企業統治)のコンサルティングを手掛けるプロネッド(東京都港区)が、上場企業2168社を対象に調べた。

■ 女性社外取締役を選任する企業

 女性社外取締役を2人以上選任している企業は171社で19年度の107社から増えた。最多は4人で、ソニー、三菱自動車工業、三菱UFJフィナンシャル・グループの3社だった。

 取締役会のダイバーシティに対する機関投資家の要請が強まっていることが背景にあるとみられる。例えば、資産運用会社大手の米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、投資先企業で女性取締役が1人もいない場合、経営トップの選任に反対する方針を掲げる。2年前から日本企業も対象に加え、エンゲージメント(建設的な対話)や議決権行使を活用して女性取締役の選任を働きかけている。

「生え抜き」の育成に課題

 女性社外取締役の経歴では、弁護士(296人)と大学教授(219人)が突出して多く、上場企業の役員経験者(66人)は弁護士の4分の1に満たない。経営の監視・監督を担える生え抜きの女性役員が育っていない実態がうかがえる。

■ 女性社外取締役の主な経歴
出所:「2020年社外取締役・社外監査役白書」(プロネッド)

 女性社内取締役を選任している企業は207社で、全体の9.7%だった。19年度の192社(8.9%)から微増した。20年度から女性社内取締役を選任した企業は、資生堂やリクルートホールディングス、丸井グループなど46社ある。女性社内取締役の選任比率は女性社外取締役の選任比率と比べて大幅に少なく、社外の人材に依存している状況が続いている。

 人材の争奪戦が激しくなっている中、女性リーダーの育成強化など、生え抜きの女性社内取締役を輩出する体制の構築が急がれる。