イオンモールはESG債を発行し、200億円を調達する。国内全店で使用する電力を全て再生可能エネルギーにする目標の達成を目指す。

 イオンモールが2021年11月に発行したのは「サステナビリティ・リンク・ボンド」と呼ぶESG債だ。グリーンボンドのように資金使途を限定せず、ESG目標の達成度合いと発行条件が連動するのが特徴である。年限は5年、発行額は200億円、利率は0.16%である。格付投資情報センターから、国際資本市場協会(ICMA)のサステナビリティ・リンク・ボンド原則に適合しているとセカンドオピニオンを取得した。同月19日時点で11の機関投資家が投資を表明している。

 イオンモール財経本部財経統括部長の横井栄一氏は、「ESG債に投資を振り向ける機関投資家の潮流があり、ESG債は単なる資金調達手段ではなくESGの取り組みのアピールになる。調達資金を色々な使途に充てられるサステナビリティ・リンク・ボンドがいいと判断した」と話す。

150拠点を「CO2フリー」に

 同社は、25年度末までに国内に約150拠点ある全てのイオンモールで使用する電力を再生可能エネルギーに切り替え、「CO2フリー」にすることを目指している。今回のサステナビリティ・リンク・ボンドでは、これを目標に設定した。目標を達成できなかった場合、発行額の0.2%に相当する約4000万円を脱炭素に資する活動を実施している公益財団法人に寄付する。

■ イオンモールが発行したサステナビリティ・リンク・ボンドの概要
■ イオンモールが発行したサステナビリティ・リンク・ボンドの概要
使用電力を全て再生可能エネルギーで賄うイオンモール上尾(埼玉県上尾市)<br><span class="fontSizeS">(写真:イオンモール)</span>
使用電力を全て再生可能エネルギーで賄うイオンモール上尾(埼玉県上尾市)
(写真:イオンモール)

 他社が発行しているサステナビリティ・リンク・ボンドの中には、目標未達の場合に利率を上げるものもある。「利率が上がると投資家が得をすることになり、当社とベクトルが違ってしまう。その上、仕組み債として取り扱われ、投資してもらいにくくなる」(横井氏)。

 イオンモールにはESG債での成功体験がある。20年9月、環境に配慮した商業施設の建設や、テナントの事業継続支援などの新型コロナウイルス対策に調達資金を充てるサステナビリティボンドを起債した。5年債と7年債合わせて300億円を発行したところ、発行額に対して1.25~2.24倍の応募があった。19の機関投資家が投資を表明し、イオンモールのESGの取り組みが広く知られることになった。

 投資意欲が旺盛な状態が続けば、低い利率でも投資してもらえる期待もある。イオンモールは今後もESGを中心に資金調達を考えていく方針だという。

 活気づくESG債市場だが、環境や社会課題の解決につながっているか、プロジェクトに対する評価の目は厳しくなりつつある。他社との差異化も意識し、ESG債を設計することが欠かせなくなってきた。