米ウォルマートは天然水産物の98%をサステナブルな魚に置き換えた。日本では改正漁業法が2020年12月に施行され、資源管理の強化が不可避になる。

 「Our Oceans, Our responsibility(私たちの海は私たちの責任)」。世界最大の小売り企業、米ウォルマートは2020年春から、持続可能に生産された水産物を証明するエコラベルを商品棚に付ける「看板キャンペーン」を始めた。

 天然魚の「MSC(海洋管理協議会)認証」、環境や社会に配慮した養殖魚の「BAP認証」、アラスカ産の持続可能な天然魚を示す認証などのマークが棚に躍る。「持続可能な魚を品揃えしてキャンペーンを実施した店は、生鮮水産物の売り上げが25%も向上した」と同社の持続可能な食品・農業担当シニアディレクター、マイケル・ハンコック氏は語る。

米ウォルマートはサステナブルな認証ラベルを商品棚に付け始めた。人気のツナ缶ではMSC認証を取得した<br><span class="fontSizeS">(写真:ウォルマート)</span>
米ウォルマートはサステナブルな認証ラベルを商品棚に付け始めた。人気のツナ缶ではMSC認証を取得した
(写真:ウォルマート)

 環境や社会に配慮して生産された持続可能な水産物「サステナブル・シーフード」が欧米市場で急速に広まっている。ウォルマートと同社会員制スーパーのサムズ・クラブが扱う天然魚は、19年に98%がサステナブル認証を取得したものか、認証取得を目指して漁業改善プロジェクト(FIP)を進める魚に置き換わった。養殖魚も99%が持続可能な水産方針に基づいて調達している。

 世界人口が50年に100億人に迫る中、タンパク源として水産物への注目が高まっている。しかし国連食糧農業機関(FAO)のデータによれば、水産資源の34.2%が乱獲により過剰漁獲され、持続可能ではない状態にある。サステナブル・シーフードが必要とされるゆえんだ。

 しかし、水産大国・日本ではサステナブルに取る漁業が広がっていない。そもそも日本では水産業自体が衰退しつつある。1982年に2兆9772億円だった生産額は2018年に1兆5579億円まで落ち込んだ。サステナブルを鍵に成長産業として伸ばしてきた欧米とは真逆の動きだ。

水産改革が始まった日本

 事態を打破するため国は水産改革に踏み切った。70年ぶりに抜本改正された漁業法が20年12月に施行された。改正法の肝は資源管理だ。従来、船の大きさや漁具に規制をかけてきたが、今後は魚種ごとに「漁獲可能量(TAC)」を定め、船ごとに「漁獲割り当て(IQ)」を決める。

■ 改正漁業法の概要
■ 改正漁業法の概要