海運大手が航行時にCO2を排出しないゼロエミッション船の開発を相次いで発表した。脱炭素化で先行し世界で存在感を高める狙いだが、欧州の動きは想定より早そうだ。

 2050年のカーボンニュートラルに向け、日本の海運大手が脱炭素化の取り組みを加速させている。

 日本郵船は、21年12月からアンモニアを燃料とするエンジンを搭載した輸送船の開発に着手する。ジャパンエンジンコーポレーションとIHI原動機がエンジンを開発し、日本シップヤードが外航アンモニア輸送船の船体開発を担う。26年度の就航を目指す。事業規模は約123億円で、国のグリーンイノベーション(GI)基金の助成事業に採択され、約84億円の支援を受ける予定だ。

 「499tクラスの貨物船より大型・高出力の船は将来、アンモニア燃料が主流になるとみている。オールジャパンでアンモニア燃料船の開発やサプライチェーンの構築、法規制の整備などに取り組み、国際海運における競争力の強化につなげたい」と、日本郵船の横山勉グリーンビジネスグループ長は意欲を見せる。

■ 船舶の代替燃料は規模や用途によって住み分ける
■ 船舶の代替燃料は規模や用途によって住み分ける
2030年代の住み分け予想。小型船は電気、観光船や499t型より小型の貨物船は水素(燃料電池)、大型・高出力の船はアンモニアが燃料の主流になるとみられる
(出所:日本郵船の資料を基に日経ESG編集部作成)

 一方、商船三井は21年11月、アンモニアを燃料とした大型アンモニア輸送船の開発計画を発表した。それに先立ち、ドイツのマンエナジーソリューションズと船舶用アンモニア燃料エンジンの発注に向け基本協定書を締結、先進的な技術を取り込み早期導入を目指す。また、ジャパンエンジンコーポレーションが開発する水素燃料エンジンを外航・内航大型船に搭載して実施する実証事業(GI基金事業)にも参画する。

 「日本政府のカーボンニュートラル宣言以降、荷主からの輸送における温室効果ガスの削減要請が非常に強くなった。20年代後半からアンモニアや水素、合成メタンなどを燃料とするゼロエミッション外航船を導入し、こうした声に応えていく」と、商船三井の環境・サステナビリティ戦略部の島裕子部長は語る。同社は35年までにゼロエミッション船を約110隻導入する計画だ。

■ 日本郵船が26年度の就航を目指すアンモニア燃料船のイメージ
■ 日本郵船が26年度の就航を目指すアンモニア燃料船のイメージ
写真:日本郵船
■ 商船三井が計画している水素燃料エンジン搭載実証船のイメージ
■ 商船三井が計画している水素燃料エンジン搭載実証船のイメージ
写真:商船三井