小売りやメーカーがプラスチックごみの回収・リサイクルを強化している。サーキュラーエコノミーでの競争力強化に向けて異業種連携が加速し始めた。

 セブン&アイ・ホールディングスは2020年10月、環境サービス大手のヴェオリア・ジャパン(東京都港区)と三井物産と共同でペットボトルのリサイクル事業を開始すると発表した。3社で合弁会社を設立し、22年に西日本地区でリサイクル工場を稼働させる。年間約2万5000tのリサイクルPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を生産する計画だ。

 セブン&アイは19年5月にグループの環境宣言「グリーンチャレンジ2050」を発表し、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現を目指してプラスチック対策を強化している。リサイクル事業への出資もその一環である。

 同社のオリジナル商品で使用する容器でバイオマス(生物資源)やリサイクル素材などの採用を進めており、50年までに100%切り替えるのが目標だ。これまでに、セブンイレブンやイトーヨーカドーといった店舗にペットボトルの自動回収機を約1300台設置した。19年度の回収量は9800t、3億6000万本に達する。

セブンイレブンに設置したペットボトルの自動回収機(左)。店舗で回収した使用済みペットボトルから作ったリサイクル素材を100%採用したオリジナル商品(右上)。今後、店内に設置したごみ箱で回収している低品質の使用済みペットボトルもリサイクルしてオリジナル商品に使っていく(右下)
(写真:セブン&アイ・ホールディングス)

 自動回収機で回収した使用済みペットボトルは、消費者がきれいに洗っているためリサイクルがしやすい。実際、飲料や総菜の容器、衣料品などにリサイクル素材の採用を広げている。だが、グリーンチャレンジの目標達成には調達をさらに増やす必要がある。

30年に需要が10倍に

 海洋プラスチックごみ問題への関心が高まる中、飲料メーカーや日用品メーカーがこぞってリサイクル素材の使用を増やしており、今後、需給がひっ迫する可能性がある。需要が供給を大きく上回れば調達コストが上がるリスクも想定される。セブン&アイ経営推進本部サステナビリティ推進部の尾崎一夫シニアオフィサーは、「30年には現在の10倍の需要が見込まれ、リサイクル素材が足りなくなる恐れがある」と話す。

 セブン&アイは自らリサイクル事業に乗り出すことでリサイクル素材の安定供給を確保する狙いだ。店内に設置してあるごみ箱で、他のごみと一緒に回収した低品質のペットボトルを新会社のリサイクル工場に搬送し、リサイクルする。

 セブン&アイ サステナビリティ推進部シニアオフィサーの釣流まゆみ執行役員は、「(コンビニエンスストアを展開する)当社は社会インフラとしての立ち位置を求められている。そうである以上、特に環境・社会課題に関心が高いミレニアル世代やZ世代から見れば、環境・社会問題への対応は欠かせない」と言う。