コニカミノルタはDXを活用し、顧客や取引先でのCO2削減を加速させる。社外で自社の排出量より多く減らし、2030年に「カーボンマイナス」を目指す。

 「コニカミノルタが存在することで世界のCO2排出量が減っていくことを想定している」─。2020年11月4日、コニカミノルタサステナビリティ統括部長の高橋壮模グループ業務執行役員は報道陣を前に話した。

 同社は現在、自社が排出するCO2を上回る量のCO2を社外で削減する「カーボンマイナス」に取り組んでいる。このほど、20~22年の新中期経営戦略を策定したのを機に、カーボンマイナス実現の目標年を従来の50年から30年に前倒しした。

 50年に「CO2ネットゼロ」を打ち出す企業が増えつつある中でコニカミノルタはさらにその先を行く。カーボンマイナス実現の鍵を握るのが、顧客や取引先との連携強化だ。

 これまで、省エネや省資源など自社のノウハウを生かして他社の環境負荷削減を支援してきた。相手先企業にCO2削減やコスト削減というメリットを提供することで信頼関係を強め、自社商品の売り上げや利益の増加につなげている。

 例えば、顧客の支援を開始してから6年間の累計で429件の契約を獲得し、複合機2530台、印刷機5台、ソリューション149件を販売した。この活動によって築いた顧客基盤は1300社に上る。

コニカミノルタは、取引先の生産現場に入り込み、省エネや省資源を支援してサプライチェーン全体の環境負荷を下げる
生産拠点や販売拠点では太陽光発電など再生可能エネルギーの利用を推進する
(写真:コニカミノルタ)

支援先を10倍に

 今後はデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用して、支援先を大幅に広げる。具体的には、相手企業が自ら省エネ診断と施策を実行できるシステムを導入する。従来はコニカミノルタの省エネ診断士が相手先の工場を訪問して支援していたため、年間3~4社が限界だった。ノウハウをデジタル化して提供することで、同40~50社に増やす。

 太陽光発電など再生可能エネルギーの導入ノウハウもデータベース化し、顧客や取引先のCO2削減を推し進める計画だ。

 環境課題に加えて社会課題の解決にも取り組む。新中期経営戦略とともに公表した5つのマテリアリティ(重要課題)の1つに、「働きがいの向上と企業活性化」を挙げる。「エネルギーや資源に関する目標だけでなく、現場で働く人の働きがいも目標に入れていく」(高橋執行役員)。

 例えば、印刷工場に対してデジタル印刷機を活用したオンデマンド印刷を導入し、業務フローを短縮するといったソリューションを想定する。生産性を高めることで創造的な活動に充てる時間を創出し、働きがいの向上につなげる考えだ。

 ESG経営の競争領域は、気候変動や資源循環といった「E(環境)」から、働きがいなどの「S(社会)」へ広がってきた。