新指数は、気候変動の取り組みが収益につながっているかに注目する。脱炭素が加速する中、ETF(上場投資信託)や投資信託への採用を狙う。

 日本取引所グループ(JPX)とロンドン証券取引所グループ(LSEG)は2021年11月2日、温室効果ガス排出削減に取り組む企業に注目した株価指数「FTSE/JPXネットゼロ インデックスシリーズ」を開発すると発表した。東京証券取引所・情報サービス部インデックスグループ課長の飯塚賢氏は、「22年4月から運用を始めたい」と話す。

 ターゲットは、国内外の資産運用会社だ。パリ協定の目標達成に向けて資産運用会社も運用ポートフォリオを通じた脱炭素が求められている。上場投資信託(ETF)や投資信託などへの採用を狙う。

 構成銘柄は、時価総額や流動性の高い国内500銘柄で構成される「TOPIX500」が基となる。新指数は、構成銘柄から算出された温室効果ガス排出量の合計がTOPIX500より30%少なくなるように投資比率を決める。さらに、排出量の合計を毎年平均7%ずつ減らしていく。企業の排出量は毎年変わるので、大きく減らした企業の投資比率が高まっていく。こうして指数で「排出ゼロ」を後押しする。

■ 「JPX/FTSEネットゼロ インデックス」の概要
■ 「JPX/FTSEネットゼロ インデックス」の概要
構成銘柄はTOPIX500が基になる。各銘柄の炭素強度(排出量を企業価値で除した値)と投資比率を掛け合わせた合計が、TOPIX500と比べて30%少なくなるように投資比率を決める。こうして算出した排出量合計を毎年平均7%ずつ減らしていく

企業を5段階で評価

 投資比率の判断には、世界の機関投資家が参加する低炭素経済推進イニシアティブ(TPI)が採用する「マネジメント・クオリティ・スコア」という評価手法を使う。企業を5段階で評価する。リターンを確保するため、温室効果ガス排出量だけでなくグリーン分野の売上高や気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づいた情報開示なども加味する。TPIはLSEG傘下の英FTSEラッセルがデータパートナーを務めており、そのノウハウを日本企業の評価に生かす。

 エフティーエスイー・ジャパン・リミテッドのFTSE Russell日本代表の多湖理氏は、「過去のデータを使ったシミュレーションではTOPIXやTOPIX500と比べてリターンが高かった。実際の運用でも高くなると確信している」と自信を見せる。

 世界の取引所はデータを活用した情報サービスに力を入れており、ESGのデータはその主戦場となっている。過去、環境をテーマとした金融商品は、リターンを出せずに消えていったものも多い。新指数が普及するかどうかは、リターンがどれだけ市場を上回るかにかかっている。企業のカーボンニュートラルの取り組みは、目標達成を宣言して実践する段階から、その取り組みがグリーン分野の収益機会にどれだけつながっているかを示し、評価される段階に突入する。