最近は、賃貸住宅のZEH化も積極的に進められています。

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「良質な社会資本を次代へつなぐ」(写真:太田 未来子)

仲井 20年度の実績で、目標を大きく上回る3000戸近くの新築賃貸住宅のZEH化が実現しました。近いうちに新築全体の30%達成を目指しています。

 賃貸住宅オーナーに、将来、より価値ある住まいを求める入居者が物件を選ぶ時代が来た時に、生き残れる賃貸住宅を作りましょうというのが当社の提案です。それが社会的にも意義のある賃貸住宅経営だということを訴求しています。

 また、賃貸住宅でZEHを体験した方たちが広がることは、環境貢献の意義を一人でも多くの方に実感してもらうことにつながり、環境課題の解決に重要だと考えています。

22年1月期の連結純利益で過去最高を予想しています。サステナブルな企業活動と業績は相乗効果が得られるものでしょうか。

仲井 完全に相乗効果になっています。むしろ、ZEH戦略がなければ、ここまで業績を伸ばせなかったかもしれません。

 高度経済成長が終わって成熟期の今は、もはや「スクラップ・アンド・ビルド」ではなく、「良質なストック(社会資本)」を次代へ残していかなければいけない時代だと考えています。住宅でいえば、高い耐震性や断熱性、さらにはZEHもそうです。投資するなら良質なものを造ろうという流れになっていますね。

 国の政策も、新築住宅に対する省エネ基準の義務化や太陽光発電設備の設置推奨に向けた検討など、良質な住宅ストックの増大に向けてかじを切り出しています。

 こうした良質のストックという価値観は、当社の創業以来の理念であり、今後もこの路線を走っていきます。

生物多様性の定量評価に成功

「生物多様性」への取り組みでは、01年に開始した「5本の樹」計画が20周年を迎えました。

仲井 当社では、建物だけでなく敷地を丸ごと設計するという考え方をしています。5本の樹計画は、「3本は鳥のために、2本は蝶のために、地域の在来樹種を」という思いを込めたものです。

 住宅メーカーをはじめ、デベロッパーには高度経済成長期に山を切り崩して開発してきた負い目があります。当社ではもう1度、自然との共生を図っていこうと考えたのが、5本の樹計画の最初です。

 その時に取り入れようとしたのが「里山思想」です。自然と、人が住む集落の緩衝地帯である里山は、まったくの手つかずではなく、人の手の入った自然です。それぞれの地域の里山にあるような在来樹種を植えましょうというのが趣旨で、既に累計で1700万本以上が植えられています。

 実際に私も10年前、5本の樹計画のマニュアル通りに3カ月をかけて自宅の庭を改造しましたが、本当に様々な野鳥や蝶が訪れることを実感しました。

21年11月に発表された「都市の生物多様性の定量評価の仕組み」は世界的にも珍しいものなのでは?

仲井 5本の樹計画を快適性の話だけで終わらせてはもったいない、エビデンスが取れないかと、2年前から琉球大学理学部の久保田康裕研究室と共同で検証を進めてきました。このほど生物多様性の定量評価に成功しました。世界で初めてのことです。具体的には、5本の樹計画により、この計画を実施しなかった場合と比べて、地域の在来種の樹種数が10倍、住宅地に呼び込める可能性のある鳥の種類は約2倍、蝶は約5倍になったことが確認されました。