聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

「はかる」技術を強みとし、情報通信のほか、食品・医薬品の安全安心を支えてきた。経営ビジョンを一新し、持続可能な未来づくりへの貢献を通じて企業価値の向上を目指す。

濱田 宏一(はまだ・ひろかず)
濱田 宏一(はまだ・ひろかず)
アンリツ 代表取締役 社長
1964年生まれ。88年東京電機大学工学部卒業後、アンリツ入社。2015年執行役員、計測事業研究開発総括 R&D本部長、16年常務執行役員、17年専務執行役員、計測事業グループ プレジデント、取締役を経て、18年4月より現職(写真:吉澤 咲子)

2021年4月に新たに定めた経営ビジョン“「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。”には、どのような思いを込めましたか。

濱田 宏一 氏(以下、敬称略) これまで当社は測定技術をベースに情報通信や食品・医薬品分野に注力してきましたが、ICTが不可欠な社会において今後さらに計測へのニーズが高まることが予測されます。そこで、アンリツのコア・コンピタンスである「はかる」を極めるとともに、社内外の異なる発想や技術を融合させる、限界を超えて新しい領域を開拓し、あらゆるステークホルダーと共に持続可能で魅力的な未来を築いていくという思いを新たな経営ビジョンに込めました。

 当社の事業は通信計測への依存度が高く、3Gや4Gなど携帯電話の通信技術が変わるたびに市場の影響を受けてきました。この状況から脱して飛躍するために、今後は次なる成長分野への投資を強化して収益の安定化を図り、30年度に2000億円企業を目指していきます。

経営ビジョンと同時に中期経営計画「GLP2023」を発表し、4つの成長分野を挙げていますね。

濱田 「GLP2023」の3年間は新たな芽を成長させる期間と位置づけ、「電気自動車(EV)、電池測定」「ローカル5G」「医療・医薬品」「光センシング」を次なる成長分野として重点的に開拓していきます。これら4分野の抽出に当たっては、当社のコンピテンシー生かせる領域であることはもちろん、測定器メーカーとして社会に貢献できることは何かという観点で選びました。

 例えば「EV、電池測定」でいうと、CO2排出量削減に向けて今後はEVが主力となるでしょう。当然、安全性や品質の評価が不可欠となります。そこに当社の計測技術が生かせるのではないかと考えて新領域としました。他の分野に関しても社会課題に対する当社の役割を見つめ直し、選択しています。

サステナビリティ目標を明示

中期経営計画ではサステナビリティ目標を掲げました。各ESG領域での目標や施策を教えてください。

濱田 ビジネスと同様にサステナビリティにおいても具体的な目標を示すことが必要と考え、今回初めてサステナビリティ目標を公表しました。まず、環境についてはアンリツ独自の取り組みとして温室効果ガス排出量削減活動「PGRE30」を推進しています。自社の主要拠点に太陽光発電設備を導入し、アンリツグループの18年度における電力消費量を基準とした太陽光自家発電比率を、18年度の0.8%から30年度までに30%程度まで高めることを目標としています。21年度は7〜8%となる見込みで、23年度には13%以上に持っていきたいと考えています。