聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

顧客と社会のレジリエンスを高めるため、時代とニーズに即した独自のサービスを提供する。自然資本や生物多様性などサステナビリティに関わる活動範囲をさらに広げる。

サステナブル経営の考え方をお話しください。

樋口 哲司(ひぐち・てつじ)
樋口 哲司(ひぐち・てつじ)
MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス 代表取締役 副社長執行役員 グループCFO
1961年生まれ。84年住友海上火災保険に入社。2014年三井住友海上火災保険の執行役員東京本部長、16年取締役常務執行役員。17年MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス執行役員。20年取締役専務執行役員。21年10月副社長執行役員(現職)(写真:村田 和聡)

樋口 損害保険では貨物からスタートして、火災保険、自動車保険と世の中の変化に合わせ、社会課題の解決に資する商品を提供してきました。2010年に「活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えます」という経営理念を策定し、18年度から21年度までの中期経営計画「Vision 2021」では、 SDGsを道しるべにCSV(社会との共有価値の創造)を経営の軸に置きました。30年までに「レジリエントでサステナブルな社会」の実現を目指すとし、そのためのマテリアリティを7つ定めています。

経営の中でのサステナビリティの位置づけを教えてください。

樋口 サステナビリティは経営戦略の中枢に位置づけています。

 経営組織の下にサステナビリティ委員会を設けて、CFOの私が委員長をしています。サステナビリティは経営戦略の後ろ盾なしにはうまく行きませんので、委員会の運営も経営戦略とマッチさせていくことが大切です。その位置づけの下、社員はCSVを拠り所に、社会課題を解決しながら、企業価値を拡大させる活動をしています。

社会課題を解決する商品の提供

サステナビリティを考慮した保険商品をどう企画するのでしょうか。

樋口 保険は事故発生時の経済的損失を補填する仕組みなので、契約者からすれば何も起こらない方がよいわけです。そこで、運転時のリスクを低減する機能や事故発生時の影響を小さくして回復を早める機能を付加することで、社会課題解決への貢献と持続的成長につなげていく価値創造の仕組みを作りました。

 その代表例が「テレマティクス自動車保険」です。クルマから得た走行データを基に、安全運転をスコア化し、運転をアドバイス、スコアに応じて保険料を割り引きます。そして事故発生時にはオペレーターからの安否確認と事故対応サービスで、迅速な回復を図ります。