聞き手/田中 太郎(日経ESG経営フォーラム事業部長)

サステナビリティ指針を事業推進の軸に据えるコーセーは、2026年に創業80周年を迎える。美を通じて多様な人・社会への順応と貢献を実現し、環境保全では花王との協働も進めている。

2020年4月に「コーセー サステナビリティ プラン」を策定した経緯をお聞かせください。

原谷 美典(はらたに・よしのり)
原谷 美典(はらたに・よしのり)
コーセー 執行役員経営企画部長
1989年上智大学大学院を修了、コーセー入社。基礎研究室、研究統括室、情報統括部を経て2008年に広報部長、12年から経営企画部長、18年から現職(写真:大槻 純一)

原谷 美典 氏(以下、敬称略) コーセーグループは26年に創業80周年を迎えます。その年を目標に設定した中長期ビジョン『VISION 2026』の中心にある3つの基盤戦略の1つが、「バリューチェーン全体にわたるサステナビリティ戦略の推進」でした。「コーセー サステナビリティ プラン」はその基軸をなすものであり、あらゆる事業活動にサステナビリティ視点を組み込んで、事業の成長と持続可能な社会の実現を両立したいと考えています。

 このプランを打ち出したのは20年でしたが、コーセーは1946年の事業開始以来、創業者・小林孝三郎の座右の銘「正しきことに従う心」を企業精神の根幹としてきました。91年にコーポレートアイデンティティ(CI)を導入した際にこれを掘り下げ、「美」に関わる企業として「美しい知恵 人へ、地球へ。」というメッセージを制定しました。これは30年たった今も全く古びていないと当社は考えていて、新たに策定したプランでも「サステナビリティ指針」として顕示しています。

 97年の気候変動枠組み条約締約国京都会議(COP3)開催を機に、美を通じた社会・環境への取り組みを進めるグループ横断の「地球環境委員会」を組織しました。それ以前は「良いものを作って地道に提供すればよい。社会貢献も声高にアピールするものではない」という考えでした。しかし、99年に上場してからは企業として目指す方向性を示す説明責任があるとトップが判断しました。一方でグローバル化が急速に進んだこともあり、事業領域が海外に広がった当社も企業理念やCIで定めたメッセージや、環境や社会にどう貢献していくかを発信すべきだと考えました。

 そこで13年に「CSR委員会」を設け、19年からは「サステナビリティ委員会」に発展させました。事業を通じてSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できる企業になりたいと考えています。

社員などステークホルダーにはサステナビリティ指針をどのように浸透させようとしていますか。

原谷 サステナビリティ指針の「人へ」の部分では①アダプタブルな商品・サービスの提供、②美しく健康的で幸せな生活のサポート、③ジェンダーにとらわれず活躍できる社会への貢献――の3つに取り組みます。