聞き手/杉山 俊幸(日経BP 総合研究所主席研究員)

鉱山・製錬の技術で、環境・リサイクル事業を展開するDOWAエコシステム。明日を見据え、リチウムイオン電池や太陽光パネルのリサイクルに挑む。

DOWAグループにおけるDOWAエコシステムの位置付けを教えてください。

矢内 康晴(やない・やすはる)
矢内 康晴(やない・やすはる)
DOWAエコシステム 代表取締役社長
1985年新潟大学法学部卒業、同年4月同和鉱業(現・DOWAホールディングス)入社。97年環境事業本部、2008年小坂製錬総務部長、13年DOWAエコシステム取締役企画室長、18年DOWAホールディングス理事(総務・法務部門部長)、21年4月より現職 (写真:川田 雅宏)

矢内 康晴 氏(以下、敬称略) DOWAグループは1884年、明治政府から秋田県小坂鉱山の払い下げを受け、非鉄金属の鉱山・製錬会社として事業をスタートしたのが始まりです。その後、1970年代後半から環境・リサイクル事業を開始し、99年からは5つのコア事業の1つとして環境・リサイクル事業に取り組んできました。その後、2006年のホールディングス制移行に伴い、分社化してDOWAエコシステムが設立されました。

環境・リサイクル事業の概要をお聞きします。

矢内 パソコンなどの使用済み基板類や使用済み家電・小型家電、シュレッダーダストなど処理が難しい廃棄物およびリサイクル原料などの中間処理、精製を行い、金属地金の資源化、エネルギーの回収、最終処分を行っています。

 鉱山・製錬では金属資源の探査から始めて、製鉱、選鉱、溶錬、精製という過程を経て、金属地金と副産物を生産します。DOWAグループは、100年以上に及ぶ鉱山・製錬事業の中で、有害物質管理など様々な要素技術を蓄積してきました。そこで培った技術・経験をフルに活用し、廃棄物処理やリサイクル、土壌浄化、環境物流に役立てています。08年に小坂製錬は鉱石を使わずに溶錬ができる新設備を本格稼働させ、リサイクル原料に特化した製錬所になっています。

リチウムイオン電池をリサイクル

EV需要の高まりから、リチウムイオン電池のリサイクル技術への関心が高まっています。

矢内 EVが自動車の主流になって、10年ほど先にはリチウムイオン電池(LIB)のリサイクルが社会的に大きな課題になると見ています。鉱山で採鉱した鉱石を製錬するより資源循環でリサイクル処理をする方が環境負荷も少ない。問題はコストで、自動車メーカーからユーザーまで、社会全体でリサイクル処理の費用を分担し合う仕組みをつくらなければなりません。DOWAエコシステムは18年から日本自動車工業会のLIBの共同回収スキームに参画し、リサイクルに取り組んでいます。