聞き手/安達 功(日経BP 総合研究所フェロー)

祖業の技術に磨きをかけ、自動車排ガス浄化用セラミックスが中核事業に育った。独自技術の社会実装を顧客と共に進め、カーボンニュートラルやデジタル分野で成長を目指す。

事業領域と経営理念について教えてください。

小林 茂(こばやし・しげる)
小林 茂(こばやし・しげる)
日本ガイシ 代表取締役社長
1961年生まれ。83年慶應義塾大学法学部卒業後、日本ガイシ入社。2007年電力事業本部営業統括部NAS営業部長、16年執行役員、18年常務執行役員、20年取締役専務執行役員、21年より現職(写真:上野 英和)

小林 1919年の創立以来、碍子(がいし)など電力関連機器をはじめ、自動車の排ガス浄化用のセラミック製品、特殊金属製品の製造販売を手がけてきました。がいしはセラミックスの一種(磁器)で、電気を絶縁することで安定的な電力供給を世界中で支えています。送電網の整備が進んだ明治時代にがいしの国産化を目指し、日本陶器(現ノリタケカンパニーリミテド)から分離独立したのが発端です。

 セラミック技術を通じて「社会に新しい価値を そして、幸せを」提供するという企業理念を掲げています。理念の実現に向けて、「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」という「NGKグループビジョン Road to 2050」を策定しました。

セラミック技術は自動車の環境性能の維持には欠かせません。

小林 現在は排ガス中の有害物質の無害化に欠かせないセラミック製品が事業の中核を占めています。

 今後は内燃機関を搭載した自動車から電気自動車(EV)への移行が進み、市場は大きく変わります。当社もデジタルやカーボンニュートラルに資する製品を中心に事業構成をシフトし、2030年には関連商品などの売上高を50%、50年には80%以上を目指します。

■グループビジョンと事業構成比率
■グループビジョンと事業構成比率
カーボンニュートラルとデジタル社会の領域で、30年に50%、50年に80%の売り上げ比率を目指す

蓄電技術で再エネ活用を担う

小型薄型蓄電池や大容量蓄電池など、日本ガイシの強みである蓄電池の開発状況を教えてください。

小林 デジタル向けでは今後、小型で薄型のリチウムイオン二次電池「EnerCera®(エナセラ)」の市場規模が非常に大きくなると見込んでいます。顧客からもスマートカードやRFIDタグ、ウエアラブル端末など、IoTデバイスの様々な用途への期待が寄せられています。

 大型の電池では、メガワット級の電力貯蔵を世界に先駆けて実用化した「NAS®電池」があります。高度なセラミック技術による大容量、高エネルギー密度、長寿命が特徴で、長時間にわたり高出力の電力供給が可能です。世界200カ所以上で稼働実績があります。