再耕の内容を教えてください。

芳井 今、東西2カ所でモデルプロジェクトを進めています。1つが横浜市の「上郷ネオポリス」です。開発当時は「学校が近い」を売り文句にしていましたが、少子化で小学校は閉校になりました。商店街も相次いで閉店しています。そこで、再耕の第一弾として2019年10月、コンビニエンスストア併設型のコミュニティー拠点「野七里テラス」を開設しました。コンビニの横にコミュニティースペースを設け、住民の方がイベントを開催したり、集まって食事をしたりできる場としています。コンビニの店員や施設運営ボランティアは、地域住民の方に担っていただいています。80代の高齢者が高校生と一緒に笑顔で生き生きと働く場となっています。

 もう1つのモデルプロジェクトは兵庫県三木市の「緑が丘ネオポリス」です。独自技術を採用したミニ胡蝶蘭「COCOLAN」の栽培施設を建設し、地域に新たな雇用を創出しました。近隣の大学の協力を得て、栽培の支援をしてもらったり、COCOLANの活用策を検討したりしています。

■新たなまちの魅力を創出する「LivnessTown(リブネスタウン)プロジェクト」
上郷ネオポリス(横浜市)に開設したコンビニ併設型の野七里テラス
コンビニでは地域の高齢者が生き生きと働いている
 
緑が丘ネオポリス(兵庫県三木市)では、ミニ胡蝶蘭「COCOLAN」の栽培事業に取り組む
(写真提供:大和ハウス工業)

 このようにまちに力を取り戻せば、人が循環し、コミュニティーも活性化します。そうすることでまちは魅力を保ち続け、SDGsのゴールの1つである「住み続けられるまちづくり」の実現にもつながります。

 ただ、上郷や三木の取り組みが他の地域にもそのまま当てはまるとは思っていません。まちが抱える課題、住民の方々の気質、行政の考え方などは地域によって様々です。丁寧に時間をかけて地域の方との信頼関係を積み上げながら、61通りのスタイルを作り出していきたいと考えています。

商売っ気は出さない

ネオポリスを再耕するにあたり、採算性についてはどう考えていますか。

芳井 この取り組みを、投資やリターンで考えるのは違うと思っています。企業ですから採算を度外視することはできませんが、これは当社が積み残し、やらなくてはならない課題です。対価をいただくことを踏み込んで考えたことはありません。再耕にあたっては社員たちに、リフォームのチラシを投函するなどの「商売っ気は出すな」と伝えています。

 今後、まちごとに目標の達成度を競わせることも検討しています。そういう競争の中でアイデアも生まれてくると思います。当社には、まちをつくってきた優秀なスタッフが数多くいます。その知恵は必ず生きてくるはずです。

既存のまちの再耕と同時に、新しいまちづくりにも挑戦しています。

芳井 日々の暮らしの身近な課題解決を目指すのが、「リブネスタウンプロジェクト」です。一方で、地球環境や気候変動などスケールの大きな社会課題解決に焦点を合わせて新規のまちを開発する、「コReカラ(コレカラ)・シティ プロジェクト」を推進しています。千葉県船橋市では、日本で初めて再生可能エネルギーで電気を100%まかなうまちづくりに着手しました。

 私たちは戸建住宅、マンション、商業施設、発電施設、インフラなど、まちづくりに必要なすべてをグループ内で担うことができます。力を結集し、柔軟に取り組んでいきたいと考えています。

■ 郊外型複合まちづくり 「コReカラ・シティ プロジェクト」
 
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コReカラ・シティの未来像
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(出所:大和ハウス工業)