2040年に再エネ100%利用

ステークホルダーの視線は、本業だけでなくESGにも向けられるようになっています。環境分野ではどのような対策を講じていますか。

「新たなまちの魅力を創出したい」(写真:村田 和聡)

芳井 環境については早い時期から取り組んでいます。創業者は、「21世紀には風と太陽と水が重要になる」という言葉を残しました。まさに環境です。09年には、環境エネルギー事業に乗り出し、現在は風力、太陽光、水力発電事業や蓄電池の販売などを手掛けています。

 菅義偉首相が「50年までに温室効果ガス排出量ゼロを達成する」と表明し、ゴールが明確になりました。我々もそこに照準を合わせて対応していきます。50年のカーボンニュートラル達成に向け、40年までに自社の電力を100%再エネでまかなうことを目指しています。 

ガバナンス強化の一環として、国内事業の業務執行体制を7つの事業本部に再編成しました。どのような狙いがありますか。

芳井 1つは機敏に決断して動くことです。事業本部長に責任と権限を委譲し、環境の変化に対してスピーディーに対応します。もう1つはグループ間のシナジーを生み出すことです。グループ会社を事業本部の傘下に組み込み、一体となって機動的に活動できるようにします。

 例えば、グループ会社の1つにホームセンターを運営するロイヤルホームセンターという会社があります。企業の多店舗展開をサポートする流通店舗事業本部の傘下に配置することで、成長余地が高まる可能性があります。

 事業本部制は21年度から本格運用を開始します。それまでにグループ会社の統合や事業の整理なども進めていきます。

“長所軸”で育成する

ホームページでは株主資本利益率(ROE)や株主資本コストなどの経営指標を公開しています。ステークホルダーに特に注目してほしい指標はありますか。

芳井 D/Eレシオ(負債資本倍率)は見ていただきたいですね。無理せず、0.5前後に保ち続けているところは評価していただけると思います。もう1つはROIC(投下資本利益率)です。各事業本部にもこの指標にこだわるべきと伝えています。投資はもちろん必要ですが、来たタマを全部振るのではなく、プライオリティーをつけることが重要です。

今後のサクセッションプランについて教えてください。

芳井 創業者は、「事業を通じて人を育てること」が企業理念であると説き続けました。今後もこの方針を継続しなくてはなりません。斜に構えたり逃げたりせず、様々なお客様に正対する人間力を養うことは容易ではありません。そのためにはまず、教育と経験を積み上げ、人として認めてもらえる人財を作り込みたいと思います。

 大事なのは“長所軸”で育てることです。算数が苦手な子どもに算数を教え込むのは難しい。体育が得意なら体育を、音楽が得意なら音楽をさせれば、算数では味わえなかった喜びを味わえます。創業者は社員の長所をよく理解し生かしていたそうです。だからこそ、これまでに様々な人財を輩出し、新しい事業を生み出すことができたのでしょう。

 大和ハウスグループは創業100周年を迎える55年度に、売上高10兆円という目標を掲げています。最高顧問の樋口には、「私の社長在任中に『この体制なら10兆円に到達できる』というメンバーを揃える」と約束しています。顔ぶれを見た樋口には、きっと、「このメンバーならやりよるな」と思ってもらえるはずです。