聞き手/小林 暢子(日経BP 総合研究所主席研究員)

明治グループ長期環境ビジョンを策定し、4領域で取り組みを進める。中期経営計画で独自の経営指標「明治ROESG*」を打ち出し、300億円の投資枠も設定した。

2050年に向けた長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」を発表しました。どんな方針で策定しましたか。

川村 和夫(かわむら・かずお)
川村 和夫(かわむら・かずお)
明治ホールディングス 代表取締役社長 CEO
1976年明治乳業入社。99年経営企画室長、2007年取締役、12年、前年に事業統合により商号変更した明治の代表取締役社長および明治ホールティングスの取締役に就任。18年より明治ホールディングス代表取締役社長就任。20年より現職(写真:大槻 純一)

川村 和夫 氏(以下、敬称略) 環境問題は現在の延長線上で改善策を積み上げても解決できません。今回のビジョンは、未来を起点にバックキャスティングの考え方で策定しました。その上で、今やるべきことを3カ年の中期経営計画に落とし込みました。50年までには、技術革新や社会変化も起きるでしょう。その都度、到達目標を作り替えることが必要だと思います。

長期ビジョンでは気候変動、水資源など、4領域で目標を設定しています。様々な取り組みを進めるための体制について教えてください。

川村 19年10月に設置したサステナビリティ推進部が司令塔となり、グループ一体で取り組みます。21~23年度の中計には、3年間で300億円のESG投資枠を設定しました。

 メーカーがCO₂排出量やプラスチック使用量を削減するには、工場や物流拠点での設備導入が不可欠です。現場は事業成長のための投資を優先しがちですが、投資枠を設けたことでESGの取り組みも積極的に計画を立てられると思います。

 社外有識者の意見をサステナビリティ活動の強化に生かすため、21年度から年に2回の「ESGアドバイザリーボード」を開催しています。「コストの議論が先に立ち、ESGをオポチュニティーとして高められていない」といった貴重なご指摘をいただいています。

中計では、ROEとESGの評価を組み合わせた独自の経営指標「明治ROESG」を打ち出しました。

川村 「ROESG」を開発し、商標を持つ一橋大学の伊藤邦雄名誉教授の言葉を借りれば、ROEとESGは二項対立の概念ではなく、中長期的に整合する経営目標です。グループ全体でサステナビリティ活動を加速するため、中計では明治ROESGを最上位の経営目標に設定しました。ESGの重要性が現場の社員にも伝わり、意識変化を促せると期待します。21年度からROESGの結果を役員報酬にも反映させます。役員報酬全体の15%ほどを占める株式報酬に連動させる形です。

■明治グループ 長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」
■明治グループ 長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」
■明治ROESG 経営の実践
■明治ROESG  経営の実践
出所:明治ホールディングス

*「ROESG」は一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です