聞き手/杉山 俊幸(日経BP 総合研究所主席研究員)

サプライチェーン全体で環境や人権に配慮した持続可能な原材料の調達に取り組む。カカオ豆の持続可能な調達を大きく一歩進めたプロジェクトを発表、新たな段階へ全社で踏み出す。

ロッテグループのESGに対する方針を教えてください。

牛膓 栄一(ごちょう・えいいち)
牛膓 栄一(ごちょう・えいいち)
ロッテ 代表取締役社長執行役員
1960年神奈川県生まれ。83年明治大学卒業後、ロッテ入社。2008年ロッテ商事 営業統括部執行役員、15年常務取締役、同年ロッテホールディングス取締役(兼任)、16年ロッテ商事 代表取締役専務(兼任)。18年4月、傘下に3社が合併し、新会社ロッテ代表取締役社長執行役員就任(写真:大槻 純一)

牛膓 企業として、売り上げや利益などの経済的価値だけでなく、社会的価値を拡大することが極めて重要だと考えています。

 コロナ禍を経て、SDGsやサステナビリティの重要度は一層増しました。ESGに率先して取り組むことで社会に貢献し、社員の働く意欲を向上させることが、結果的に経済的価値の拡大にもつながります。社会に必要とされ、人々のウェルビーイングを実現する企業を目指します。

特に力を注ぐ分野は何ですか。

牛膓 菓子やアイスクリームの製造販売に携わる企業として、安全安心な製品を公正に届けるため、サプライチェーン全体で環境や人権に配慮した持続可能な原材料の調達を重要視しています。2019年には「ロッテサプライヤーガイドライン」を制定し、取引先と基本的な価値観を共有しました。英NPOが運営する供給網の情報共有システム「Sedex(セデックス)」によるサプライチェーンの管理にも着手しました。

 一部の主要原材料については、ESG中期目標にKPIを盛り込んでいます。パーム油については、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)など第三者認証油の使用率を、23年度までに国内分を現在の7.5%から100%に、28年度までに海外を含めて100%にする計画です。

 パーム油に比べて市場も小さく第三者認証も未発達なカカオ豆に関しては、ロッテ独自の「フェアカカオプロジェクト」を推進します。現在11%のフェアカカオ使用率を23年度に20%以上、28年度に50%以上にする方針です。

農園と提携して新製品を開発

フェアカカオプロジェクトとはどのような内容ですか。

牛膓 カカオ豆の生産における最大の問題は、児童労働です。そこで生産地のパートナーと協力し、カカオ豆の購入に際して一定の割増金を上乗せして、児童労働のモニタリングに当てるのがフェアカカオプロジェクトです。ただパーム油ほど確立した枠組みがないので、独自の踏み込んだ取り組みが必要なのです。

大きな課題意識をお持ちですね。

牛膓 はい、そのためモニタリングではなくロッテが農園に関与するプロジェクトを始めたところです。当社は西アフリカを中心にカカオ豆を調達していますが、生産地や発酵方法の違うカカオ豆を使ったチョコレートは、従来とは異なる味わいに仕上がります。そこで別の地域の農園でロッテ自身がカカオ豆の栽培や発酵に携わりながら、新商品を開発するプロジェクトを立ち上げました。

■ロッテグループ「フェアカカオプロジェクト」の概要
■ロッテグループ「フェアカカオプロジェクト」の概要
カカオ豆を調達する生産地域を指定し、一定の割増金(プレミアム)を上乗せして支払う仕組み。割増金は地域における児童労働のモニタリングと支援に使われる
(出所:ロッテ)