聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

先進の空調制御で快適さと省エネを両立したビル環境を提供する。顧客のSDGs目標やESG経営に貢献するソリューション事業を展開していく。

2020年6月、アズビルの社長に山本清博氏が就任。その後、CO2削減に関する定量目標を定めました。お客様の視点に立った斬新な内容です。

濱田 お客様の現場におけるCO2削減効果については、これまでも実績値として報告してきました。19年度は製品とソリューションの提供を通じて、301万tのCO2削減を実現しました。これは日本のCO2排出量のほぼ400分の1に相当します。そして今後も継続的にSDGsを推進するために、30年度の数値目標を340万t(年間)にしました。

 ビルシステムカンパニーは、お客様のSDGs目標やESG経営に貢献するソリューションを提供しています。定量的指標を明示することで、社員のベクトルが合うといった効果も期待しています。

SDGsに沿った提案書を作成

SDGs推進のための具体的な取り組みについて教えてください。

濱田 和康(はまだ・かずやす)
濱田 和康(はまだ・かずやす)
アズビル 取締役執行役員常務 ビルシステムカンパニー 社長
1987年早稲田大学卒業後、山武ハネウエル(現アズビル)入社。2013年執行役員 ビルシステムカンパニー環境ファシリティソリューション本部副本部長、16年執行役員常務、ビルシステムカンパニー東京本店長、18年より現職(撮影:村田 和聡)

濱田 アズビルは19年度を“SDGs元年”と位置付け、グループ理念「人を中心としたオートメーション」を基盤に社会の課題解決に貢献するため、SDGsを経営の道標としました。

 ビルシステムカンパニーは、その1年前の18年からSDGsに取り組んでいます。お客様にプレゼンテーションする際に、SDGsにひも付けて提案書を作成するように指示したことが始まりでした。活動が本格化したのが新元号になった19年だったので“ReIWAタスク”と名付け、若手社員を中心に進めています。

18年といえばSDGsは今ほど世間に浸透していませんでした。この2年でお客様の評価はどう変わりましたか。

濱田 以前のお客様への提案は、省エネという切り口が多く、投資対効果の話が中心でした。ところが、SDGsが浸透するにしたがって、ESGの価値観を取り入れた提案がしやすくなりました。お客様には「SDGsのことがよく理解できた」と喜ばれ、SDGsについて勉強しながら取り組んできた若手社員にとっては自信につながりました。「人の役に立つ」ということは、彼らにはとても大切なことなのです。その取り組みを社内にアピールして、全社で水平展開しています。

 20年4月には、SDGsへの取り組みをさらに強化する目的でサステイナビリティ推進本部を新設しました。トップダウンでSDGsを展開すると会社が管理しているという印象になりがちなので、ボトムアップを取り入れて社員が能動的に活動できるようにしています。

 CO2削減に関する定量的指標の導入、ボトムアップのSDGs推進といった体制の整備により、社員一人ひとりがSDGs/ESG活動を常に意識して、お客様の現場での実現を目指すようになっています。自社とお客様のSDGs推進を通じて、社会課題の解決に貢献する。そんな意識が社内に定着してきたと実感しています。