聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

2021年4月に25年度までの中期経営計画を策定し、激変する環境下での成長戦略を示した。環境・グリーン戦略をすべての事業を行う前提条件と捉え、モールのCO₂排出ゼロ化などに取り組む。

2021年4月に25年度までの中期経営計画を策定しました。概要を説明してください。

吉田 昭夫(よしだ・あきお)
吉田 昭夫(よしだ・あきお)
イオン 取締役 兼 代表執行役社長
1960年生まれ。83年ジャスコ(現イオン)入社。2012年イオンモール中国本部長、14年同社常務取締役営業本部長兼中国担当を経て、15年同社代表取締役社長を歴任。19年イオン代表執行役副社長に就任。20年より現職(写真:大槻 純一)

吉田 昭夫 氏(以下、敬称略) まず30年に“ありたい姿”を、「イオンの成長が地域の豊かさに結び付く循環型かつ持続可能な経営を実践する企業集団」と明確化しました。その実現に向け、25年までに事業基盤の確立を目指します。具体策として「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」など5つの成長戦略を示しました。

 我々は「小売業は地域産業であり人間産業であり平和産業である」という理念の下で事業活動を進めています。地域とそこに住む人々を尊重し貢献したい。地域の方々にイオンの成長を期待され、応援してもらえる企業を目指します。

成長戦略のポイントは何ですか。

吉田 コロナ禍の2年で我々を取り巻く環境は激変しました。この変化を成長のチャンスと捉え、大胆な変革によって対応力を高めます。

 デジタル化の加速でオンラインチャネルの存在感が増したことから、リアル店舗とデジタルを融合した利便性と満足度の高いサービスの提供を進めます。スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターといった業態の垣根を越えて競争が激化する中、商品の独自性も一層重要になります。プライベートブランド「トップバリュ」は、機能で独自価値を追求する商品群をベースに、オーガニックやナチュラルを志向する「グリーンアイ」、お値打ち価格を実現した「ベストプライス」の3層構造でウエートを高めます。

 人々の健康への意識が一層高まったことを受け、ドラッグストア・ウエルシアの事業拡大を図ります。薬剤師が病気になりにくい体づくりの助言をするなど未病領域の健康ニーズに応え、地域のかかりつけ薬局のポジションをつかみたいと思います。人口動態からも将来の成長性が高いアジアについてはベトナムを重点市場に据え、リアルとデジタル同時並行で事業を推進します。

5つの成長戦略のほかに「環境・グリーン戦略」を掲げています。どのような位置付けですか。

吉田 事業を営む上でGX(GreenTransformation)は避けて通れません。環境・グリーン戦略はすべての事業を行う前提条件と捉えています。イオンは1990年代からいち早く環境問題に注目し、植樹やレジ袋有料化などに取り組んできました。現在は3つのアプローチで取り組みを進めています。

 第1は我々が事業を行う上で発生する温室効果ガス排出の抑制、第2はお取引先からお客様までサプライチェーンにおける温室効果ガス排出の抑制、第3は植樹です。CO₂の排出量をできるだけ減らす一方で吸収量を増やし、脱炭素の実現を目指します。