聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所副所長)

RFIDタグを活用した最新物流技術で医療材料管理の課題解決を図る。ヘルスケア産業のサプライチェーンマネジメント(SCM)を実現し、持続可能な病院経営を支援する。

2021年に全面稼働した「大阪ソリューションセンター」(以下、大阪SC)は、全く新しいコンセプトです。その狙いから教えてください。

大橋 太(おおはし・ふとし)
大橋 太(おおはし・ふとし)
シップヘルスケアホールディングス 代表取締役社長
1964年神奈川県生まれ。87年エフエスユニマネジメント入社。2000年同社取締役、06年同社代表取締役社長、09年シップヘルスケアホールディングス取締役、14年代表取締役副社長、21年より現職(写真:水野 浩志)

大橋 太 氏(以下、敬称略) 五十数社を率いる当グループの中に「メディカルサプライ事業」があり、私自身はこの30年間、医療物流を担ってきました。日々医療技術の急速な進展によって、病院で使われる医薬品や医療材料の種類も増大しています。材料費用は病院の経費の約4分の1を占めるまでになり、これらの適正な管理なしでは、病院の持続的な健全経営は難しい時代になりました。

 一方で、材料費用などのコスト削減が迫られるなか、当社も高付加価値なサービスを提供することで持続可能な経営を図っていきたいと、大阪SC構想を立ち上げたのです。

サプライ側でこれほど大きな在庫管理システムを作り上げることは珍しいと思います。

大橋 医薬品や医療材料の種類が急増していることはすなわち、現場の医師や看護師にとって使い間違いの防止、使用期限の確認などの業務負担も大きくなっているということです。

 こうした病院の課題をどうすれば効率的に解決できるかと考えていた時にリコール品や期限切れ部品の使用防止や取り違いを事前に防ぐ「トレーサビリティ」という考え方が世に出てきました。川上のメーカーから川下の病院・患者まで、医薬品・医療材料がどう動いているかを把握しトレーサビリティを確立することで、安全性はもちろん、効率化・省力化を図ろうというものです。

 ソリューションセンターという呼称も、一般の物流センターのように在庫や配送の管理だけを行っている単なる倉庫ではなく、医療界の課題解決に寄与できるセンターということで名付けました。