聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所副所長)

総合化学企業として世界で初めてSBTイニシアチブの認定を取得した住友化学。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、どのような取り組みを行っていくのか。

住友化学グループは2021年12月に、30年度までに温室効果ガス50%削減、50年にはカーボンニュートラルを実現するとの目標を公表しました。実現のためのポイントと活動計画を教えてください。

岩田 圭一(いわた・けいいち)
岩田 圭一(いわた・けいいち)
住友化学 代表取締役社長
1982年、住友化学工業(現住友化学)に入社。有機ELの発光材料など、次世代事業の収益化に取り組む。2004年に情報電子化学業務室部長、13年から常務執行役員、18年から代表取締役。19年より現職(写真:髙田 浩行)

岩田 圭一 氏(以下、敬称略) 住友化学は18年にSBTイニシアチブによる認定を取得しましたが、30年度までの温室効果ガス排出量の削減目標を大きく上積みし、「Well-below2℃(2℃を十分に下回る水準)」で改めて認定を取得しました。目標を高く掲げたわけですから、より高い水準で排出削減に取り組んでいかなければなりません。カーボンニュートラルに向けて、「責務」と「貢献」の両面から事業を推進していきます。

 「責務」とは、住友化学グループの温室効果ガス排出量を50年までに実質的にゼロにする取り組みです。「再生可能エネルギーが安価なコストで供給されたら」といった外的要因に頼ることなく、自力で排出量ゼロを目指します。目標達成のためには、グループ内の省エネルギーの徹底に加え、利用可能な最良の技術(BAT)の活用が欠かせません。愛媛工場内に液化天然ガス(LNG)発電所を建設する、千葉工場内に高効率なガスタービン発電設備を導入するなど、既に新しい取り組みを開始しています。

「貢献」についても解説していただけますか。

岩田 「貢献」とは、住友化学グループの製品やソリューションを世界の排出削減に役立てることです。具体的には電気自動車向けの全固体電池用材料といった革新的な製品の提供や化学品製造技術のライセンス普及などです。さらにスタートアップ企業やアカデミアと連携し、炭素循環社会の構築を目指していきます。

プラスチック資源の循環は、排出削減の取り組みの中でも重要なポイントです。

岩田 従来のプラスチックのリサイクルの中には、環境負荷が高いものもありました。簡単に言うと、バージンプラスチックを製造するよりも、より大きなエネルギーを使ってリサイクルプラスチックを作っていたのです。そうした問題点を解決するプラスチック資源循環を考えています。リサイクル技術の社会実装の取り組みは当社単独ではできないため、同業、 異業種、アカデミアなどとの様々な連携を進めています。このような製品が受け入れられる市場形成に向けて製品価値を分かりやすく示すために、資源循環型プラスチックブランド「Meguri®」を立ち上げました。