聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム 事務局長)

ジーエス・ユアサ コーポレーション(GSユアサ)は、自動車電池、車載用リチウムイオン電池、産業電池の3事業で時代のニーズに対応する。「革新と成長」を通じて、カーボンニュートラルの社会づくりに貢献する。

企業理念は「革新と成長」です。そこに込めた思いを教えてください。

中川 敏幸(なかがわ・としゆき)
中川 敏幸(なかがわ・としゆき)
ジーエス・ユアサ コーポレーション 代表取締役 専務取締役 最高財務責任者(CFO)
1957年京都府生まれ、81年日本電池(現ジーエス・ユアサ コーポレーション)入社。2006年財務統括部長、09年執行役員、10年取締役コーポレート室長、14年常務取締役、18年専務取締役CFO、20年より現職(写真:行友重治)

中川 敏幸 氏(以下、敬称略) 当社は発明家でもあった島津源蔵が設立した日本電池、江戸時代の商家の老舗炭屋12代目当主 湯淺七左衛門の湯淺蓄電池製造がルーツです。明治から昭和にかけて産業界にイノベーションを起こした2つの会社が、2004年に経営統合した際にこの企業理念が作られました。「社員と企業の『革新と成長』を通じ、人と社会と地球環境に貢献します」と、当時から明確に地球環境への貢献をうたっています。現在は環境対応車や再生可能エネルギー用の電池を提供することで、地球環境に貢献しうるポジションにあると思っています。

 コロナ禍で20年の春から夏にかけて自動車生産台数が大きく落ち込み、自動車電池の売り上げも大きく減少しました。しかし、鉛蓄電池の主原料である鉛の価格が需要低迷で下落したことから、利益面は売り上げの減少ほど落ち込んでいません。

事業の柱は自動車電池、車載用リチウムイオン電池、産業電池電源です。この事業構造をどう評価しますか。

中川 鉛蓄電池は100年来の事業であり、着実な収益を見込めるビジネスです。これをベースに安定した財務基盤があり、自他ともに認める電池の開発力もあります。それらを信頼してくださっているパートナー、企業理念を共有するグループの従業員がいます。下支えするものとしてESGの観点、例えば環境対応や人権擁護、コンプライアンスなどがあって製品展開が実現しています。

 こうしたサイクルを回しながら、利益を上げ、株主への還元を行い、イノベーションを起こし、従業員の幸せも広げていきたいですね。

■価値創造プロセス
■価値創造プロセス
出所:ジーエス・ユアサ コーポレーション
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CFO(最高財務責任者)の役割をどのようにお考えですか。

中川 社長のCEO(最高経営責任者)はグループの先頭に立ってアクセルを踏んで進んでいきます。CFOはブレーキをいかに踏むかといった役割を担っていると思います。

 とはいえ、ブレーキをかけてばかりではいけません。CFOとして、自己資本比率を高めて無借金経営を目指すことではなく、成長分野には一定の投資を積極的に行います。まず主力事業でしっかり稼ぐ。そして債務償還年数は2年を目指す。足元は2.2年で、目標に近い水準です。自己資本比率は46%ですが、40〜50%あればいいと思っています。