UNGC10原則を基にKPI設定

ESGにはどのように取り組んでいますか。

中川 4年半ほど前、アジアのグループ会社に欧州企業のCSR監査が入り、雇用の観点からグループ全体の取引に影響しました。それを契機にCSR室とCSR委員会を設立しました。担当役員だった私は、まず「守りのCSRだけではなく、攻めのCSRを目指す」と宣言しました。攻めのCSRとは、「さすがGSユアサ」と言われるようなしっかりした体制で取り組んでいくことです。

 18年4月には国連グローバル・コンパクト(UNGC)に参画しました。その10原則をベースにマテリアリティをピックアップして社会への影響を分析評価し、KPI(重要業績評価指標)を設定してPDCAサイクルを回しています。これを繰り返すことで経営の質を高めていく。まずは中核事業会社であるGSユアサで実行しました。現在は国内外のグループ会社、サプライヤーへ展開しています。

 投資家と対話をするなかで「EとSはいいが、Gがよく見えない」と指摘されました。ここ1、2年はコーポレートガバナンス・コードを意識して指名・報酬委員会の設置、社外取締役の増員、会計監査人の変更などガバナンスの改善を進めています。

ステークホルダーの評価を高めるため、どんな点に力を入れていますか。

中川 調和の取れた経営が重要です。ROE、利益、特定のステークホルダーのどれに偏重してもいけない。第5次中期経営計画に明記した、「すべてのステークホルダーからリスペクトされる会社になろう」を目指します。

 世界はカーボンニュートラルに向かって自動車の電動化が進んでいます。しかし、難しい課題があるのも事実です。例えば、車載用リチウムイオン電池の正極の一部にはコバルトという希少金属が使われています。コバルトは約7割が紛争国であるコンゴ民主共和国で産出されているため、ある日突然、供給に限界がくるかもしれません。

 リサイクル問題、安全性の確保など解決すべき課題も多い。自動車の電動化は難易度が高いのですが、やりがいもあります。開発陣も、苦しみながらもいきいきと開発に取り組んでいます。