聞き手/杉山 俊幸(日経BP 総合研究所主席研究員)

「安全・安心」「サステナビリティ」実現のため中期経営計画でESG戦略を経営戦略の柱に据えた。「2030年までに10%の燃料をSAFに代替」という目標をクリアすべく業界との連携など取り組みを進める。

2025年度までの中期経営計画でESG戦略を経営戦略の柱に据えました。思いを聞かせてください。

赤坂 祐二(あかさか・ゆうじ)
赤坂 祐二(あかさか・ゆうじ)
日本航空 代表取締役社長
1962年生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了後、87年日本航空に入社。2009年安全推進本部部長兼ご被災者相談部長、14年執行役員整備本部長兼JALエンジニアリング代表取締役社長、16年常務執行役員整備本部長に就任。18年より現職(写真:吉澤 咲子)

赤坂 祐二 氏(以下、敬称略) 航空業界は世界のCO₂排出量全体の2%を排出しています。欧州で「飛び恥」運動が起きるなど、温暖化は業界の持続可能性や成長に影響を及ぼす深刻な問題となっています。私自身、コロナ禍に航空機の運航が止まる状況を経験し、危機意識が一層高まりました。理由は異なるものの、今後CO₂の問題で「航空機を止めよう」という事態も起き得ると身をもって感じたのです。

 航空業界は平和産業であり、「安全・安心」「サステナビリティ」が基盤となります。自らそれらをつくる姿勢がなくては生き残れません。ESGやSDGsは航空会社にとって事業存続の源泉なのです。基幹戦略に据えて取り組むべきと考えました。

CO₂排出削減のため、具体的にどんな取り組みを進めますか。

赤坂 以前から重点を置いてきたのが燃料使用量の削減です。航空会社にとって燃料は最大のコスト要因で、燃料効率の向上は経営の最重要テーマでもあり、これからも継続して取り組みます。また、燃料そのものの転換も進めます。業界として持続可能な航空燃料(SAF)の使用を30年までに全体の10%に増やす目標を掲げています。当社もそれをクリアするため、約40万kℓの燃料をSAFに置き換えていきます。

業界全体でSAFを導入

SAFの調達はどのように進めていますか。

赤坂 18年に廃棄物を原料にバイオジェット燃料を製造する米フルクラムの株式の一部を取得しました。米国では同社を中心にSAFの調達が可能です。航空連合のワンワールドでの共同調達も進めます。40万kℓのうちの約3分の1は見通しがついています。

 一方、日本から飛び立つ分や国内線など日本で調達すべきSAFについては、現段階で全くメドが立っていません。サプライチェーンを持つ石油元売り業界などが開発・製造を進めてくださると安価で迅速な調達が可能と期待しています。その際、重要なのは原料です。米国には大量の非可食トウモロコシがありますが、日本ではいろいろな原料を使って作ることが求められると思います。