聞き手/桔梗原 富夫(日経BP 総合研究所フェロー)

デジタル通信インフラを担いながら“脱・通信”を進める東日本電信電話(NTT東日本)。地域の課題解決とデジタル化で「地方の頼れるパートナー」を目指す。

NTT東日本は今後どのような存在を目指しますか。

矢野 信二(やの・しんじ)
矢野 信二(やの・しんじ)
東日本電信電話 代表取締役副社長 副社長執行役員
1984年東京大学経済学部卒、日本電信電話(NTT)入社。人事担当や法人営業を経て2015年取締役千葉事業部長、18年から現職(写真:大槻 純一)

矢野 信二 氏(以下、敬称略) NTT東日本グループは「東日本地域を担当する通信サービス提供会社」として通信回線というインフラを担う会社です。電話回線については現在約700万回線を提供しており、NTT西日本と同様に法令に基づく「ユニバーサルサービス制度」によって、電話回線を高コスト地域でも提供する義務を負っています。一方、デジタルサービスではISDN→ADSL→光回線とブロードバンド化する中で、現在では約1300万回線を提供しています。

 従来は通信サービス提供会社でしたが、現在は「地域社会の課題解決」をパーパス(存在意義)として東日本の自治体や企業などと一緒にデジタル通信インフラを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、新たな需要を掘り起こすイノベーション創出が主業務になっています。小売業や建設業といった各業種のDXや、コロナ禍ではリモート診療のソリューションを提供したり、教育機関にリモート授業が行える基盤や技術を提供したりと、各地の「困りごと」を解決する存在になってきました。

サステナビリティの取り組みの現状についてお聞かせください。

矢野 外からの目で見て「わが社に求められている仕事」を社員全体が認識し、それを誠実にこなして提供することで、本業を通じたSDGsへの貢献を目指しています。具体的には①コミュニケーションのインフラとして安定的に動かし続ける、②常に最新テクノロジーを活用し、ユーザー・地域社会に寄り添って提供し続ける、③地域の課題解決と新しい価値の創出で地方活性化を実現する――の3点です。社員・役員もこうした仕事を通じてSDGsに貢献している実感を持ってほしいし、そのために自分は何ができるかを考え、足りない部分はリスキリング(学び直し)ができるよう支援しています。

 環境への取り組みもマストです。NTTグループは日本全国の電力消費の1%を占めるとされ、電力使用量の削減は不可欠です。今後はNTTグループの次世代通信基盤構想「IOWN(アイオン)」に基づき、電気を極力使わずに動かせる通信サービスの実現や普及を推進します。一方で、災害時に主要電源を喪失しても3日間は通信インフラを止めない堅牢(けんろう)な電源基盤も用意しています。

■ NTT東日本グループのサステナビリティ
■ NTT東日本グループのサステナビリティ
通信サービスを基盤に地域活性化と脱炭素・循環型社会を目指す
(出所:東日本電信電話)
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