聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

2019年4月に定めた中期経営計画でサステナビリティやSDGsの視点を組み入れた。21年度は経営基盤強化の一環として、人材育成を含め、新しい経営方針の定着を図る。

「サステナビリティ経営」を推進されていますが、背景にある考え方を教えてください。

柴原 節男(しばはら・せつお)
日立システムズ 代表取締役 取締役社長
1958年三重県生まれ。82年京都大学理学部卒業後、同年日立製作所入社。2014年情報・通信システムグループ情報・通信システム社執行役員システム&サービス部門COO、16年執行役常務ICT事業統括本部CTrO兼日立ソリューションズ社長、18年執行役専務サービス&プラットフォームビジネスユニットCEO兼システム&サービスビジネス統括本部CTrO兼日立ヴァンタラ取締役会長に就任、20年より現職(写真:川田 雅宏)

柴原 節男 氏(以下、敬称略) 前提となるのは企業統治です。コンプライアンスおよび、従業員を含めた健康、安全が優先される土台がしっかりあれば、社会への貢献ができます。必要なのは優れた人材。そのためにも10年、20年先を見据えて、社会価値を創造できる人材や社会課題解決に貢献できる人材を育成していくことを重視しています。その結果、社会の役に立ち、存在する価値があると認められてこそ、会社が存続できるという考え方です。

 サステナビリティ経営の土台は人材であり、企業として目指す目標を定量化により示しています。例えば「ソリューション提供企業数1800社」という目標は、製造業の生産効率改善および働きがいのある職場づくりに貢献することで、社会価値を高めることにつながります。

時代の波を受け、IT化で組織変革を図るDX(デジタル・トランスフォーメーション)や中小企業の活性化が重要視されています。

柴原 製造業の中小企業においてはIT投資への認識は高まっていますが、まだ設備や人材より優先順位が低いのが現状です。そこで当社は商工会議所と連携してセキュリティー対策をサポートするなど、顧客企業との接点を増やす取り組みを進めています。

 今後グローバルのサプライチェーンにおいて部品に求められる安全性がますます重要になっていく中、業界全体でのトラストサービスの仕組みが必要になります。その際にITソリューションが欠かせない存在になり、投資の優先順位も上がってくると考えています。

自治体でもDXを進めていこうという動きがあります。

柴原 デジタル庁が先導するかたちで、自治体も標準化やクラウド化へのシフトを図っています。

 当社はかつて、厚生労働省の国民健康保険を扱う外郭団体、国民保険中央会の標準システムの構築を手がけました。利用者の利便性を高めるというプロジェクトで、この時の経験から、各自治体でシステムを作るより、標準システムを作って自治体ごとにカスタマイズしたほうが、利便性に関しては均一化できるのではないかと考えています。

 さらにマイナンバーカードを活用すれば、国のシステムとの連動も可能になり、技術的にはITであらゆる手続きが可能になる。こうした行政のデジタル化も、経験や知見を加味しながら協力していきます。

■事業の社会価値の定量化の図(2021年度目標)
日立グループ共通のサステナビリティの考え方に基づき、価値協創を通じたデジタライゼーションを推進し、持続可能な社会の実現に貢献するために、事業の社会価値を定量化した
(出所:日立システムズ)