聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

2021年1月に中間持ち株会社であるアサヒグループジャパンに酒類、飲料、食品などの国内事業を移管した。サステナビリティを各事業に組み込み、枠組みを越えた連携でより高い価値の提供と、未来の創造を目指す。

2021年1月に中間持ち株会社であるアサヒグループジャパンに酒類、飲料、食品などの国内事業を集約しました。その理由をお聞かせください。

勝木 敦志(かつき・あつし)
勝木 敦志(かつき・あつし)
アサヒグループホールディングス 代表取締役社長 兼CEO
1984年青山学院大学経営学部卒業、ニッカウヰスキー入社。2002年にアサヒビールに転籍。06年国際経営企画部長。14年に豪社のCEO(最高経営責任者)に就任した。16年に豪社CEOとアサヒGHD執行役員を兼任。17年取締役兼執行役員、18年常務取締役兼常務執行役員。20年に専務取締役兼専務執行役員兼CFO(最高財務責任者)。21年3月から社長兼CEO。(写真:三輪 憲亮)

勝木 敦志 氏(以下、敬称略) これまでは酒類、飲料、食品などお客様に対して商品を提供してきました。ただ、そういった「モノ起点」の事業だけでは限界があります。今後はグループ全体の持つ可能性や資産を活用し、例えば酒類と飲料、食品と研究開発のそれぞれを掛け合わせながら事業を高度化し、総合的に提案したいと思います。

 16年から欧州やオセアニアでビール事業を買収してきたこともあり、東南アジアと合わせて海外に3つの地域統括会社があります。日本も含め、グローバルで最善策を共有しながら、事業の成長を加速できる環境が整いました。

アサヒグループがサステナビリティに注力する背景を教えてください。

勝木 私たちが主に展開しているのはビールや飲料、食品事業で、つまりは自然の恵みによって事業活動を展開しています。美しい自然環境を持続させ、次世代へとつなげられるかどうかは、そのまま当社の事業の存続にも関わってきます。他の業界の企業以上にサステナビリティに重きを置き、経営の最重要課題として捉えています。

 下の図は、21年に刷新したアサヒグループのサステナビリティ戦略の構造を表したものです。黄緑色の「エンゲージメント向上」「パートナーとのコラボレーション」については、ステークホルダーとの対話や外部の協力によって実現します。それを支えるのが緑色の「人材育成及び組織づくり」と「長期視点の経営」です。これら4つの矢羽根を回していくことで、自然の恵みから商品を作り、期待を超えるおいしさや楽しい生活、文化を提供し、事業の成長を通じてよりよい社会、環境づくりに貢献することを示しています。

 アサヒグループは経営とサステナビリティの統合を推進していて、サステナビリティ戦略を各事業に埋め込み、それぞれKPI(業績達成評価指標)を設けてモニタリングすることで経営や事業に深く根付かせようとしています。環境、人、コミュニティ、健康、責任ある飲酒という5つのマテリアリティをベースとして、それぞれ詳細なテーマを設けています。特に「気候変動への対応」「プラスチック問題への対応」「人と人とのつながりの創出による持続可能なコミュニティの実現」「不適切飲酒の撲滅および新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決」の4つに重点を置いています。

■ アサヒグループのサステナビリティ戦略
■ アサヒグループのサステナビリティ戦略
4つの矢羽根を回すことで自然の恵みから商品を作り、期待を超えるおいしさを提供し、事業の成長を通じてよりよい社会づくりに貢献する
(出所:アサヒグループホールディングス)