重要課題グループのA(前ページ図参照)として「医療のクオリティとアクセシビリティ」を掲げ、7つのマテリアリティを特定しています。特に優先度の高いものはどれでしょうか。

三津原 当社の本業でもある1番の「薬局機能の強化(高度医療や地域医療への対応)による患者さまの薬物治療効果の向上」です。このマテリアリティを重視する理由は、薬局の機能が年々変化することにあります。例えば、新型コロナウイルス感染拡大により当社の調剤薬局ではPCR検査・抗原検査に対応するようになりましたが、1年前にはそうした役割は担っていませんでした。

 医療業界では2年に一度、診療報酬の改定が行われますが、22年度の改定率決定に合わせて、一定期間、医療機関を受診しなくても調剤薬局で繰り返し使える「リフィル処方箋」が導入されることも決まっています。このように薬局の機能は、社会の変化に順応し、常に刷新を求められており、柔軟に対応していく力が必要です。さらに、専門医療機関との連携による高度医療への対応や、地域医療機関との連携による地域医療や在宅医療への対応を進め、薬局の機能を強化していくことが患者さまの薬物治療効果の向上につながると考えています。

コロナ禍においては4番の「地域の医療・福祉インフラとしての薬局の持続的な運営、災害・パンデミックなどへの対応」も大きな意味を持つのではないでしょうか。

三津原 4番の意義を強く実感したのは、20年春に緊急事態宣言が発令されたときです。様々な店舗や施設が営業自粛を要請されるなか、生活に欠かせないスーパーマーケットや銀行とともに、薬局もシャッターを閉じることはありませんでした。このことにより、医療は絶対に止められない重要な社会インフラであることを改めて認識しました。医療サービスを提供する企業としての使命感を持ち、非常事態下において医療の提供を継続できる体制を整備していきます。

重要課題グループのCとして「医療機関の人的課題の解消」も掲げていますね。

三津原 医療従事者の有効求人倍率は高水準で推移し、採用難に直面していることは大きな社会課題の1つです。当グループには、薬剤師を対象とした人材会社、メディカルリソースがあります。薬剤師の派遣ではトップクラスのシェアを獲得しています。現在では医師や看護師などにも人材サービスの領域を広げており、今後もビジネスを通じて医療従事者の採用に貢献していきます。

 昨今では、企業競争力の源泉となる従業員の健康管理を経営的な課題と捉え、「健康経営」を導入する企業が増えています。これに関しても積極的にアプローチしていきたいと考え、20年に産業医業務の提供事業を展開する「WORKERS DOCTORS」をグループ会社として傘下に置きました。同社が保有する産業医に関するノウハウやネットワークと、当社の人材会社が持つ実績や全国規模の営業体制を生かし、企業の健康経営に欠かせない労働衛生管理に対して、付加価値の高いサービスを提供していきます。

22年4月の東証再編においてはプライム市場の上場維持基準に適合し、準備を進めています。

三津原 持続的な成長に向けてエクイティファイナンスのチャンスを保持しておくため、今回プライム市場への移行を選択しました。コーポレートガバナンスの状況については、コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示を行い、コンプライするもの、エクスプレインするものを仕分けして準備を整えています。プライム市場に足るガバナンスレベルに早急に押し上げることを意識し、実際にプロジェクトを立ち上げて進行していきます。