聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

2020年に新たにサステナビリティ基本方針とビジョンを策定した。自然の恵みで成り立つ事業だからこそ、環境への取り組みは最重要の課題だ。

2020年に新たにサステナビリティ基本方針とビジョンを策定されました。

小路 明善(こうじ・あきよし)
アサヒグループホールディングス 代表取締役社長 兼 CEO
1951年生まれ。75年青山学院大学卒業後、朝日麦酒(現アサヒビール)入社。2016年アサヒグループホールディングス代表取締役社長兼COO、18年より代表取締役社長兼CEO(写真:川田 雅宏)

小路 明善 氏(以下、敬称略) アサヒグループでは、「期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造」というミッションを、グループ理念「Asahi Group Philosophy」でうたっています。このグループ理念の実現のためには、サステナビリティの取り組みを経営に統合することが不可欠と考えています。

 基本方針はアサヒグループ全体でサステナビリティへの取り組みレベルをさらに向上させるために策定したものです。重要課題であるマテリアリティを、「環境」「人」「責任ある飲酒」に「コミュニティ」と「健康」を追加し、5つに再設定しました。策定に合わせて推進体制も一新し、私を委員長とする「グローバルサステナビリティ委員会」を新たに設置しています。

 それにより各リージョンのトップによる活発な議論ができる体制となりました。20年12月に第1回の委員会を開催し、アサヒグループとしてのカーボンゼロに向けた目標値の引き上げなど、チャレンジングな取り組みの推進を確認しました。

再設定した5つのマテリアリティの中で、とくに注力しているのはどの項目ですか。

小路 5つそれぞれ重要ではありますが、21年からは、「環境」と「コミュニティ」を強化していきたいと考えています。環境については、18年に発表した「アサヒカーボンゼロ」において、50年までにCO2排出ゼロ、30年の段階で15年比30%削減を掲げていました。

 それに対して、グローバルサステナビリティ委員会での議論によって、30年の削減目標を19年比で50%削減に引き上げることを決定しています。目標引き上げに際しては、パリ協定の2℃目標から1.5℃目標を達成するための科学的な根拠がある水準と認められ、SBTイニシアチブからの承認も取得しました。

■ 「アサヒグループサステナビリティビジョン」の達成に向けた新マテリアリティ
出所:アサヒグループホールディングス