グリーン電力でビールを生産

「環境」について、「アサヒ環境ビジョン2050」のポイントに、「ニュートラル」と「プラス」という2つのコンセプトがあります。まず「ニュートラル」の最新事例を教えてください。

小路 「ニュートラル」というのは、事業活動における環境負荷ゼロに向けた取り組みを指しています。アサヒグループでは、海外のグループ会社も積極的にCO2削減に取り組んでおり、欧州においては25年までに全ての工場の電力を再生可能エネルギーに切り替え、30年までにカーボンニュートラルを目指しています。

 既にポーランドの主力プレミアムビールブランドである「LECH(レフ)」は風力発電のエネルギーで製造しており、20年には全パッケージをリニューアルして、そのことを明記しています。国内でも、「アサヒスーパードライ」と「アサヒドライゼロ」の製造でグリーン電力の活用を拡大しており、20年10月には国内飲料業界として初めてRE100に参画しました。

昨今はペットボトルを含めたプラスチックが大きな問題になっています。

小路 確かにプラスチックは喫緊の課題で、アサヒグループでも各事業会社で目標を定めて推進しています。

 アサヒ飲料では18年から、ECチャネルでペットボトルのラベルを付けないラベルレス商品をケース販売専用商品として発売し、商品ラインアップを拡充しています。20年4月からは「アサヒ おいしい水」ブランドでタックシールに記されていたリサイクルマークをボトルに刻印することで、完全ラベルレス化を実現しました。ラベルやタックシールを使わないことで、年間で樹脂量が約7t削減できます。

 2021年4月には、エリア限定でペットボトルのラベルをタックシールに変更した「おいしい水」を店頭でテスト販売する予定です。タックシールへの変更に伴い、ラベルに使用するCO2排出量を約58%削減できることに加え、これまでECチャネルだけでの販売だったものを、店頭で単品販売することも可能にしています。

 海外では、オーストラリアのAsahi Beverages社で、25年までに全てのプラスチック容器をリサイクル可能もしくは生分解可能なものに切り換え、再利用することを進めています。19年には、水ブランドの「Cool Ridge(クールリッジ)」に100%リサイクルのペットボトルを導入することで、CO2の排出量を従来の約半分に減らしました。

オーストラリアのAsahi Beverages社が販売している水ブランド「Cool Ridge(クールリッジ)」は、100%リサイクル可能なペットボトルを使用している
オーストラリアのAsahi Beverages社が販売している水ブランド「Cool Ridge(クールリッジ)」は、100%リサイクル可能なペットボトルを使用している
再生可能エネルギー100%で製造されているポーランドのビール「LECH」(レフ)は、風力発電によるエネルギーで製造していることを示すラベルが貼られている
再生可能エネルギー100%で製造されているポーランドのビール「LECH」(レフ)は、風力発電によるエネルギーで製造していることを示すラベルが貼られている

パートナーシップで目指す成果

「環境」における「プラス」に該当するものには、どのような事例があるのでしょうか。

小路 「プラス」は、イノベーションによって新しく環境価値を創出する取り組みを指しています。

 その一例として、ビール工場の排水に含まれるバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証実験に20年10月からアサヒビール茨城工場で取り組んでいます。この技術は、食品業界をはじめ活用可能な業界へ幅広く普及させるため、特許を取得することなく可能な限り情報を公開して、成果を共有していきたいと考えています。

他社とパートナーシップを組んだ事例はありますか。

小路 今や世界の共通言語となったSDGsを達成するためには、競合他社だけでなく他業界との「パートナーシップ」も重要であると考えています。

 例えば20年に使用済みプラスチック再生資源化事業に取り組む新会社「アールプラスジャパン」を設立しましたが、この会社はサントリーMONOZUKURIエキスパートをはじめ、東洋紡、レンゴー、大日本印刷など業界を超えた12社で共同出資したものです。米国のバイオ化学ベンチャー企業、アネロテックの技術を活用して、環境負荷の少ない効率的な再資源化技術に挑戦し、27年の実用化を目指しています。

 物流におけるCO2排出削減に向けて、西濃運輸、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸、トヨタ自動車、日野自動車とともに、22年から各社の物流業務において、水素燃料電池トラックを活用しながら実証実験をする予定です。