災害時に電気を供給する「MIRAI」

日本政府は50年にカーボンニュートラル達成を宣言しました。

大塚 トヨタはパリ協定が採択された15年に「環境チャレンジ2050」を掲げ、地球環境をよりよくするための長期的な取り組みを続けてきました。CO2排出量の削減に向け、まず貢献できるのはハイブリッド車と考え、その拡販に努めてきたのもその1つです。

 これから先は時期や地域を見極めながら、ベストソリューションを考えていかなくてはなりません。一足飛びに「これをやればカーボンニュートラルが実現できる」という特効薬があるわけではありません。問題を深く知り、自分たちにできることは何かを追求し、解決に向けて進むことが必要です。

その中で、特に水素が果たす役割が大きくなりそうです。

大塚 20年12月に新型の燃料電池車「MIRAI」を発表しました。初代の発売当初は「水素はこわい」といったネガティブなイメージの払拭から始めざるを得ませんでした。今は水素社会実現への期待を感じる場面が多くなっています。

カーボンニュートラル達成に向け、新型燃料電池車「MIRAI」を開発<br><span class="fontSizeS">(写真提供:トヨタ自動車)</span>
カーボンニュートラル達成に向け、新型燃料電池車「MIRAI」を開発
(写真提供:トヨタ自動車)
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 「MIRAI」には外部給電する機能があります。19年から、災害時には被災地に駆けつけ、その場で電気を供給する活動に取り組んでいます。「トヨタのクルマが来てくれて久しぶりにドライヤーで髪の毛を乾かせた」といった感謝の言葉をいただいています。ウェルキャブと同じで、製品を企画する際には、その製品単体で閉じるのではなく、社会の仕組みの一部として考えることが必要になっていると思います。

 実は、私も個人的に「MIRAI」を買おうと思っています。災害が起きた時に現地に乗って行けばボランティアができますから。

これまで、未来のモビリティのコンセプト企画やGAZOO Racing Company統括などの仕事に携わってきました。これらの経験をDCSOの仕事にどう生かしていきますか。

大塚 「モータースポーツをより多くの人に楽しんでもらう」「モータースポーツを通して良いクルマを提供する」というミッションを掲げるGAZOOは社内でも変革と挑戦の旗印とされた社内カンパニーで、縦割りの壁のない働き方を実践しています。

 GAZOOでは、レースで見つけた課題を素早くみんなで集中して解決し次に向かうという仕事の進め方とチームワークを学びました。サステナビリティに関しては、同様の仕事の進め方をトヨタ全体に広げることが大事だと思います。

 未来のモビリティの企画を手掛けていた時には、今の延長線上ではなく、バックキャストで考えることを習慣づけていました。

 今、サステナビリティの推進に当たってもバックキャストの考え方を取り入れています。ただ、サステナビリティに関しては手法論以上に個人の意思、責任感、使命感が問われます。ミッションに共感する人材を育成するために、社会との接点を増やすことが必要だと感じています。