聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所副所長)

環境をテーマにサステナビリティ経営を深化させ、全部門においてギアチェンジを図る。世界300超の拠点で新たに省エネ、創エネ、購エネの実行プランを策定し、CO₂排出量ネットゼロを目指す。

2021年1月に社長直轄の「サステナビリティ経営推進委員会」を設け、環境を重点テーマとして掲げました。これまでどのような取り組みを進めてきましたか。

戸川 契(とがわ・ひさし)
戸川 契(とがわ・ひさし)
住友電気工業 常務執行役員 生産技術本部長 新規事業開発本部副本部長
1987年京都大学大学院工学研究科修了、住友電気工業入社。生産技術部生産システム技術部長、P. T. SUMI INDO KABEL社長、執行役員、新規事業開発本部副本部長(現任)を経て2020年常務執行役員。生産技術本部長も兼任(写真提供:住友電気工業)

戸川 契 氏(以下、敬称略) 21年1月のサステナビリティ経営推進委員会のほか、同年4月には地球環境部を新設し、大きな変革の時を迎えています。当社は03年から「アクションECO-21」運動に取り組み、事業を通じて環境負荷の軽減などの地道な活動を20年近く続けてきました。

 グローバルで30数カ国、300を超える生産拠点があり、それぞれに省エネ、廃棄物などを管理して月次で状況を集約できるシステムを導入しています。数値そのものをタイムリーに収集できる体制が整っており、その数字を見ながら全体の旗振りをどうするかを統括本部として考えています。

 ただ、こうした地道な活動だけではカーボンニュートラルの達成やESGを促す体制づくりはフォローしきれないため、ギアチェンジが必要でした。そこで21年に社内外に見える形で、サステナビリティ経営の推進を最重要課題として掲げました。温室効果ガスの削減目標設定を促す国際組織「SBTi(Science Based Targets initiative)」の認定を取得したほか、自然環境の破壊リスクを開示する仕組みをつくる気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言趣旨に賛同するなど、チャレンジングな目標達成に向け動き始めました。

3本柱でCO₂排出削減を推進

「アクションECO-22V」の具合的な内容を教えてください。

戸川 アクションECO運動は3〜5年ごとに区切って取り組んでおり、直近の18〜22年に実施しているのが「22V」です。各部門で目標を掲げていますが、製造業としては工場での燃料燃焼など自社の直接的排出(スコープ1)と、他社から供給された電気の使用などに伴う排出(スコープ2)を削減するシナリオを進めています。

 特に工場など生産部門では、①省エネ②創エネ(再生可能エネルギー発電など)③購エネ(再エネ購入など)――と3つの柱を打ち立て、30年までのプランを詰めているところです。日本は再エネの供給が限定的なので、基本は①省エネです。工場での生産性向上と省エネを結び付けた「エネルギー生産性」という指標を設け、18年比でエネルギー生産性を30年までに1.5倍、50年までに3倍にするKPI(重要業績評価指標)を設定しました。事業を拡大しつつCO₂排出量を削減し、競争力を高めるのが狙いです。社内25部門で30年までに①省エネ②創エネ③購エネのそれぞれで何を実行するかのメニューを策定します。