聞き手/安達 功(日経BP 総合研究所フェロー)

社会価値向上戦略と株主価値向上戦略を両輪に据えた経営で、持続可能なまちづくりを推進する。CO₂排出量削減など新たな環境目標を設定し、2050年カーボンニュートラルに挑む。

「長期経営計画2030」の狙いをお聞かせください。

有森 鉄治(ありもり・てつじ)
有森 鉄治(ありもり・てつじ)
三菱地所 代表執行役 執行役専務
1980年三菱地所入社。2011年執行役員および三菱地所投資顧問取締役社長、13年常務執行役員、16年執行役常務、17年代表執行役執行役専務(現在に至る)、18年取締役(現在に至る)。経営企画部およびサステナビリティ推進部担当(写真:大槻 純一)

有森 鉄治 氏(以下、敬称略) 「長期経営計画2030」は、ステークホルダーに対して長期的な視点で持続可能な価値提供を行うために推進しています。基本使命である「まちづくりを通じた真に価値ある社会の実現」に向けて、「社会価値向上戦略」と「株主価値向上戦略」を両輪に据えた経営を実践しています。

 重要テーマ「Environment」「Diversity & Inclusion」「Innovation」「Resilience」やKPIなどを盛り込んだ「三菱地所グルーブのSustainable Development Goals 2030」は、「Be the Ecosystem Engineers」になるという「Sustainability Vision 2050」からのバックキャスティングで制定したものです。

 また目標と取り組みを年次計画に定め、サステナビリティ委員会で進捗・達成状況の報告を行なう運用を始めています。同委員会は社長を委員長に執行役員、グループ企業のトップ、社外取締役の一部が参加し、実効性を持たせています。年次計画の達成状況は、役員報酬の定性評価項目の1つに位置付けました。

所有するオフィスビルについて、再生可能エネルギー導入を積極的に進めていますね。

有森 重要なテーマの1つである「Environment」では再エネ電力使用比率を30年に25%、50年に100%にする目標に取り組んできました。21年度から、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)の18棟と横浜ランドマークタワーを皮切りに再エネ導入を進め、22年度中に都内・横浜市内に所有するオフィスビルと商業施設の約50棟を全て再エネ電力とします。

 再エネ比率は22年3月末に約30%、1年後には50%近くになり、30年目標を大幅に前倒しして達成できる見込みです。

 CO₂排出量は30年に35%削減、50年に87%削減する目標(17年度比)でした。売却物件による将来排出などスコープ3が全体の80%以上を占めています。廃棄物は、1㎡当たりの廃棄物量を30年までに19年度比で20%削減する目標でした。コロナ禍で飲食店などテナントの排出量が30%以上減ったこともあり達成し、さらに継続的に取り組んでいきます。