聞き手/田中 太郎(日経ESG編集長)

環境保全や社会課題に配慮した「エシカルeコマース」の実現を目指す。新たな時代に向けた成長ビジョンとして「ASKUL WAY」を定め、パーパス・バリューズを策定した。

「エシカルeコマース」というコンセプトを打ち出しています。どんな思いを込めていますか。

吉岡 晃(よしおか・あきら)
吉岡 晃(よしおか・あきら)
アスクル 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)
2001年アスクル入社。医療介護施設向け通販を立ち上げ、収益化を実現。12年取締役就任、個人向け通販「LOHACO」の立ち上げからCOO(最高執行責任者)として従事。19年8月より現職。チャーム取締役会長およびアルファパーチェス取締役兼任(写真:村田和聡)

吉岡 晃 氏(以下、敬称略) これからは企業の倫理姿勢が問われる時代です。企業活動をエシカルな視点で磨き込み、環境保全や社会課題解決を考えたサステナブルなサービスを提供する存在でありたいと考えています。

 アスクルには、「売り上げはお客様の支持、利益は我々の知恵」という言葉があります。その利益を生み出すプロセスに「大義がある」と胸を張って言えることが大切です。コロナ渦でマスクが転売されたり、粗悪品が販売されたりする状況を目にして、その方針は間違っていないとあらめためて確信しました。

2020年12月に成長ビジョンとして「ASKUL WAY」を定め、パーパス・バリューズを策定しました。

吉岡 創業から四半世紀、従来の常識や価値観は変化しています。創業メンバーだった前社長の岩田彰一郎も退任しました。私は次の四半世紀、またその先にどんな変化が起きても持続的に成長するための礎が必要だと考えました。

 当社には「お客様のために進化する」というDNAがあります。エシカルeコマースの実現に向けて、どういう軸を持ってその進化を遂げるべきか。一人ひとりが迷うことなく自律的に判断・行動する指針として、「仕事場とくらしと地球の明日に『うれしい』を届け続ける」というパーパスと、「変革と最適」「多様性と共創」「誠実と誇り」というバリューズを策定しました。サステナビリティ基本方針とマテリアリティも設定し、全体の枠組みを整理しました。

ASKUL WAYを評価にも連動

これらの理念をどのように実現しますか。

吉岡 社員が意思決定をする際、常にASKUL WAYに照らし合わせるという行動を取ることが必要です。そのためには社員一人ひとりが腹落ちしていなくてはなりません。地道な啓発が大事だと思います。

 ASKUL WAYを発表する際には全社員参加の説明会を開き、私の思いを直接伝えました。今後もあらゆる局面で語りかけ続けます。ASKUL WAYを人事評価に連動させることも考えています。

地球環境への貢献や人材育成など、マテリアリティは幅広い内容です。

吉岡 エシカルeコマースの実現という視点で、5つのテーマを掲げました。中でも人材育成は、他のマテリアリティの基礎となるものです。これらの取り組みに積極的に動く人材を育成したいと思います。

 また、5つのマテリアリティを実現する上でなくてはならない基盤として、健全な財務体質や透明性の高いガバナンス、安心・安全に働ける健康経営を掲げました。

■ アスクルのマテリアリティ(重要課題)
■ アスクルのマテリアリティ(重要課題)
出所:アスクル
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