産学官民で取り組む

福岡県北九州市でも紙の循環システムを活かした取り組みをしています。

中野 北九州市の支援を受け、20年10月に「紙の循環から始める地域共創プロジェクト」を立ち上げ、紙の地域循環システム構築に向けた実証実験を進めています。同市の「北九州SDGsクラブ」が推進するこの活動は、九州ヒューマンメディア創造センターにペーパーラボを設置し、地域の自治体や企業、学校から古紙を回収して新たな紙に再生し、その紙をプロジェクト賛同団体にお届けするものです。

■福岡県北九州市で取り組む「紙の循環から始める地域共創プロジェクト」の概要
■福岡県北九州市で取り組む「紙の循環から始める地域共創プロジェクト」の概要
出所:エプソン販売
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 もともと北九州市は、国が推進する「SDGs未来都市」に選定され、その中でもとくに先進的な取り組みをしている自治体です。当社が展開する環境配慮型オフィスを北九州市全体に拡大し、紙循環システムの構築と新たな雇用創出を通して、ともにSDGs貢献を目指そうという提案に賛同いただき、プロジェクトの発足につながりました。

新たな雇用は生まれましたか。

中野 同プロジェクトでは、現在18の賛同団体から使用済みの紙を回収し、それを仕分けしてペーパーラボにセットしたり、再生紙でメモ帳や封筒などのアップサイクル品を製作し、配布する作業が発生しています。これらの作業を障がい福祉サービス事業所を運営するNPO法人「わくわーく」にご協力いただき、障がい者の方々の雇用を創出しています。

 このように同プロジェクトは環境はもちろん、雇用や地域の活性化など社会への貢献にもつながります。今後はアップサイクル品を購入していただけるような活動を進め、ほかの自治体でも展開していきたいと考えています。

これからESGにどう取り組んでいきますか。

中野 セイコーエプソングループとしては長期ビジョン「Epson 25」を掲げ、目標達成へと動いています。その中で、販売会社である当社の役割は「インクジェットを普及させ、世の中を変える」ことです。インクを対象物の必要な場所にだけ吹き付けることで廃液が出ないインクジェットの技術は様々なところで活用できます。

 例えば染物です。染料をのりに溶かした色のりで布を染める捺染(なっせん)は、染色後に水洗いが必要ですが、インクジェットで染色すれば廃液も出ず、環境負荷の低減に加えて労働環境の改善にもつながります。今後はさらにインクジェット技術の可能性を広げ、50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする政府の方針にも貢献していきたいと考えています。