聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

経営会議直属のクロスファンクショナルチームを設立した。カーボンニュートラルの実現に貢献する戦略を立案、推進する。

コロナ禍の中で、経営の現状をお聞かせください。

岩田 圭一(いわた・けいいち)
岩田 圭一(いわた・けいいち)
住友化学 代表取締役社長
1957年大阪府生まれ。82年住友化学工業(現・住友化学)入社。2002年住友化学ベルギー(現・住友化学ヨーロッパ)出向、04年情報電子化学業務室部長、10年より執行役員、常務執行役員、専務執行役員を経て18年に代表取締役専務執行役員、19年から現職(写真:大槻 純一)

岩田 圭一 氏(以下、敬称略) 2020年冬から春は自動車業界を中心に需要が大きく落ち込みましたが、その後立ち直り、第3四半期は非常に好調でした。総合化学メーカーなので、直接影響を受ける分野と受けない分野があり、業績全体のブレは少なくて済みました。

ESGへの取り組みはどう進めますか。

 気候変動問題や新型コロナによる不況下で、サステナビリティに関する意識が高まっています。IMF(国際通貨基金)は20年の世界のGDPは3.5%減少すると予測していますが、CO2排出量は7~8%減少にすぎず、パリ協定の1.5℃目標の達成には、今後、年7.6%ずつ10年間減らす必要があるのです。現状のままでの達成は不可能で、だからこそ将来世代もステークホルダーと位置付けたESG重視の経営が必要です。それには技術革新とその社会実装が求められます。化学メーカーは温室効果ガス排出量が多く、減らすのは当然ですが、技術を他の分野にも適用し、社会全体の環境負荷低減に役立てることが重要と考えます。

政府が2050年にカーボンニュートラルを打ち出しました。

岩田 住友化学は温室効果ガスについて、SBT認証の下、50年に13年比で57%削減を目標にしています。しかし、カーボンニュートラルの実現には足りず、根元から見直さなければなりません。そのために経営会議の直属でカーボンニュートラル戦略審議会と、カーボンニュートラル戦略クロスファンクショナルチームを発足させ、全社を挙げた取り組みを始めたところです。

 チームはグループ各社の専門家を兼務でノミネートして集め、弾力的に運用します。住友化学ならではの技術の視点で、可能性ある50年に向けたグランドデザインを作成し、その議論の過程で出てきたテーマについて、個別に深掘りしていきます。そして、直ちに着手可能なものは実行に移すとともに、22年度からの次期中期経営計画に取り込みます。