早川 この前提に基づいて環境負荷低減の長期目標を策定し、CO2排出量を30年度までに18年度比20%減とすること、削減貢献量をグループ全体とサプライチェーン川上の総排出量以上とすることを掲げました。

 ロードマップを作る上で難しかったのがCO2を多く排出するケミカル事業の対応です。排出量の少ない燃料への転換、再生可能エネルギーの活用、ビジネス自体のサーキュラーエコノミー化などを進めますが、原料メーカーや電力会社の取り組みも欠かせません。社会環境の変化に期待せざるを得ない面があり、働きかけも含め課題と認識しています。

■ 帝人グループが定めたマテリアリティ(重要課題)
■ 帝人グループが定めたマテリアリティ(重要課題)
SDGsの機会とリスクを整理し、2030年の目指す姿から逆算し特定した4つのマテリアリティ。さらにガバナンスやコンプライアンスなどの「持続可能な経営基盤のさらなる強化」を据えて課題解決を目指す
(出所:帝人)
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社内炭素価格を踏まえ投資判断

インターナルカーボンプライシング(ICP)制度も導入しました。

早川 CO2排出削減につながる設備投資計画を後押しするのが狙いです。石炭から天然ガスへの転換や省エネの効果だけでは設備投資の経済性が成り立たず、社内炭素価格で算定したプラスアルファの効果を入れると成り立つ場合などに活用したいと考えています。社内炭素価格は欧州の化学メーカーを参考に50ユーロ/t-CO2に設定しました。初期段階では参考値として押さえ、長期目標や事業性を考慮した上で投資判断をしたいと思います。

ガバナンス面ではどんな取り組みを進めていますか。

早川 中計で特定した重要社会課題の解決には、経営の安定が不可欠なため、「持続可能な経営基盤のさらなる強化」もマテリアリティに据えています。これらのマテリアリティは経営会議を通じてセットし、以前からあるトータル・リスクマネジメント(TRM)コミティーが方針や計画、進捗などを取締役会に報告し承認をもらう仕組みにしました。

 ESG経営の課題は、SDGsへの貢献意識を末端の社員まで浸透させることです。目の前の仕事がSDGs達成に結びつくと理解してもらえるよう、コミュニケーションや教育を一層強化していきたいと思います。