持続可能な水産資源に向けて

未来の生態系や地球環境に対し、どのように取り組んでいますか。

池見 当社は水産資源の恩恵を受け、20年に創業140年を迎えることができました。成長戦略と水産物のサステナビリティは同一線上にありますから、長期経営ビジョンには27年度までの「サステナビリティ長期ビジョン」と「サステナビリティ中期経営計画」を盛り込み、海洋資源の保全や持続可能な調達の実践に取り組んでいます。一方、16年から世界の大手水産会社と海洋・漁業を研究する科学者で構成する海洋管理のイニシアチブ「SeaBOS」に中心メンバーとして立ち上げから参画しています。6つのタスクフォースを設けて活動し、IUU(違法、無報告、無規制)漁業の撲滅や水産物のトレーサビリティの徹底といった重要課題に取り組んでいます。

クロマグロの完全養殖や人工知能 (AI)を活用した養殖魚管理など、新しい技術も積極的に取り入れています。

池見 これまで養殖魚の管理は従業員が目視で行っていましたが、20年からAIの画像処理技術を使って養殖魚の尾数などを管理するシステムを導入しました。完全養殖に関しては、天然資源の保全とクロマグロの安定供給を目指し、過去30年にわたって挑戦してきました。完全養殖とは、卵を人工ふ化させ、稚魚から成魚まで育てて、また卵を産むという循環を確立することです。幼魚から育てる通常の養殖より生育期間が1年以上も長く、その分コストもかかります。技術面でも難しさがありましたが、10年に民間で初めて完全養殖に成功し、15年に商業出荷を開始しました。日本ではまだ付加価値を感じてもらえないという課題があり、コロナ禍で事業環境はさらに厳しくなっていますが、水産会社の社会的使命として今後も持続可能な資源利用をリードしていきます。