聞き手/杉山 俊幸(日経BP 総合研究所 主席研究員)

脱炭素など多額の資金を要する企業の取り組みを資金調達の面から支援する。サステナブル分野におけるアドバイザリーのサービスも強化する。

2020年5月に策定した経営ビジョンの下、持続可能な社会の創造に資する金融サービスを提供しています。サステナビリティ推進における基本スタンスを教えてください。

後藤 匡洋(ごとう・まさひろ)
後藤 匡洋(ごとう・まさひろ)
野村證券 代表取締役副社長 野村ホールディングス 執行役員
1968年愛知県生まれ。90年一橋大学商学部卒業後、野村證券入社。2009年企業情報部マネージング・ディレクター兼企業情報四課長、10年欧州・中東・アフリカ・インベストメントバンキング部門共同部門長、13年コーポレート・ファイナンス七部長、15年執行役員 インベストメント・バンキング担当。22年4月より野村證券 代表取締役副社長 インベストメント・バンキング統括、野村ホールディングス 執行役員 インベストメント・バンキング グローバル・ヘッド(写真提供:野村ホールディングス)

後藤 匡洋 氏(以下、敬称略)創立100周年に当たる25年に向けて、「社会課題の解決を通じた持続的成長の実現」という経営ビジョンを掲げ、サステナビリティを経営戦略に組み込んだ運営を行なっています。

 当社のサステナビリティ推進には2つの軸があります。1つは金融サービスという本業を通じて、お客様の環境・社会課題の解決をサポートすることです。

 地球温暖化の進展に伴う気候変動などの環境課題や人権問題といった社会課題を解決していくには、多くの投資が必要です。社会全体で資金を出し合い、企業が事業として取り組むためのシステムを構築するサステナブルファイナンスの市場を拡大していかなければ、経済的に成り立ちません。

 サステナブルな資金循環を促進することは、社会全体の持続可能な成長だけでなく、当社のビジネス機会にもつながります。

 2つ目は、野村グループ自体が社会を構成する一員として、持続的な存在になることです。そのために環境負荷の低減や社会課題の解決、ガバナンスの高度化といった活動を推進しています。当社では、経営レベルでサステナビリティに関わる意思決定を行なう組織体制を構築し、機動的に対応できる仕組みづくりを進めてきました。21年にはサステナビリティ推進担当役員を新設し、取り組みをさらに加速させています。

カーボンニュートラルの取り組みを支援する、サステナブルファイナンスの目標も設定しています。

後藤 地球温暖化による気候変動を抑えるため、パリ協定の趣意に賛同し、21年9月には、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が発足させたネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)に加盟しました。

 脱炭素社会の早期実現に向けて、30年までに当社拠点の温室効果ガス排出量の実質ゼロを実現させます。50年には、投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量のネットゼロ達成も目指しています。

 金融機関は今後さらに、社会課題解決に資する金融サービスを提供し、カーボンニュートラルや脱炭素化を支援する取り組みが求められます。当社は26年3月までに、合計1250億ドルのサステナブルファイナンス案件に関与する目標を設定し、お客様の脱炭素社会への移行をサポートしています。

 サステナブルファイナンスについて、国や政府機関による発行も増加しており、多くの発行体や投資家が参加することで市場規模の拡大が続いています。