聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

データ分析に基づく経営資源の最適配置を進め、価値提供の拡大を目指す。EC(電子商取引)の利便性が浸透し、その成長スピードが加速、お客様起点のデジタル化を急ぐ。

2022年3月期から24年3月期のグループ中期経営計画「Oneヤマト2023」を策定しました。

長尾 裕(ながお・ゆたか)
長尾 裕(ながお・ゆたか)
ヤマトホールディングス 代表取締役社長
1965年生まれ。88年ヤマト運輸入社。2010年同社執行役員 関東支社長、15年同社代表取締役社長 社長執行役員 兼 ヤマトホールディングス執行役員、17年ヤマト運輸代表取締役社長 社長執行役員 兼 ヤマトホールディングス取締役執行役員を経て、19年4月よりヤマトホールディングス代表取締役社長 兼 社長執行役員(写真:村田 和聡)

長尾 裕 氏(以下、敬称略) 20年1月に経営構造改革プラン「YAMATO NEXT 100」を策定し、お客様、社会のニーズに正面から向き合う経営への転換を進めています。「グループ経営体制の刷新」「データ・ドリブン経営への転換」「サステナビリティの取り組み」という3つの基盤構造改革を掲げました。

 しかし、これはほんの入り口です。今後3年間で取り組むべきものは何か、マテリアリティを明確にする必要がありました。サステナビリティの取り組みを社会インフラを支える企業の一員として重要な使命ととらえています。そして1年かけて準備し、21年1月に策定したのが「Oneヤマト2023」です。

9つの施策を打ち出しました。

長尾 9つのどれもが重要な施策ですが、中でも「データ分析に基づく経営資源の最適配置」を重視しています。データ分析によって業務量予測の精度を上げ、ネットワーク全体の生産性を高めるためです。

 21年4月、我々はヤマト運輸とグループ会社7社を統合し、リテール部門・法人部門を構成する4つの事業本部と、4つの機能本部などからなる新しい経営体制に移行します。05年11月にヤマトホールディングスになってから15年以上が経過し、次第に各事業会社がそれぞれの経営資源だけを使ってビジネスをする、いわゆる“サイロ化”が進んでしまった。その結果、お客様に提供できる価値が小さくなってしまったように思います。それを打破するのが目的です。

 また予期せず訪れたコロナ禍で、ECによる消費が急速に進みました。20年4、5月の緊急事態宣言下では、1都3県で宅急便の取扱数量が5割増しになった地域もあります。もはや巣ごもり需要といったものではありません。ECの利便性が浸透し、その成長スピードは加速しています。

 さらに急激な環境変化により既存のサプライチェーンではものが売りにくくなり、ものの作り手、売り手の皆さんが消費者と直接つながる動きが強くなっています。グループの経営資源を結集し、最大限活用することで、サプライチェーン全体に新しい価値提供を行うことができます。

 ただ、私は物流だけで終わりたくはありません。商流があって物流があり、お金も情報も流れていく。物流を強化することで新しい価値提供が見えてくるはずです。