聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

2022年2月に組織体制の大幅な変更を発表し、グループ各社の垣根を取り払う。グローバル市場で勝つ組織づくりで、イノベーションの創出とCO₂排出ゼロを目指す。

社長就任のオファーを受けた理由を教えてださい。

ジョンマーク・ギルソン(Jean-Marc Gilson)
ジョンマーク・ギルソン(Jean-Marc Gilson)
三菱ケミカルホールディングス
代表執行役社長
1963年生まれ。ベルギー出身。89年米ダウコーニング入社。2005~09年の東レとダウコーニング合弁会社時代に日本駐在。11年アバントール・パフォーマンス・マテリアルズ社CEO、12年ヌシルテクノロジー社COO、14年に仏ロケット社CEOを歴任し、21年4月に同社執行役社長就任。同年6月より現職(写真:吉澤 咲子)

ジョンマーク・ギルソン 氏(以下、敬称略) 4年ほど日本での駐在を経験して以来、日本の文化やビジネスなど全てが好きになりました。家族とも、今後の人生で数年は日本と米国を行ったり来たりする生活を送ろうと話し合ったほどです。ですから今回のオファーはとても光栄だと感じました。

 当社について調べたところ、様々な課題に直面していることが分かりました。会社は変革を必要としている。それこそまさに私が得意としていることです。取締役会との面談の中でも、具体的な情報を元に会社がどう変わるべきかを提案し、それについて多くの議論をしました。その結果として、最高経営責任者(CEO)として迎えられたのです。

就任後からこれまでにかけての成果はいかがですか。

ギルソン 2022年4月からの本格的な変革に当たって準備を進めてきました。主に3つの観点があり、1つ目は経営を大幅に合理化し、組織を簡素化すること。2つ目はコストの削減、3つ目はポートフォリオの見直しです。こういった変革には3~5年はかかるのが普通です。にもかかわらず、会社がスピーディーに決断できていることに満足しています。

 「スピーディーな変化」は重要で、私自身も高い優先順位を置いています。変化が遅い時や減速する時、多くの企業は様々な言い訳をします。しかし、変革というのは十分なスピード感を持って進めなければ効果が生まれません。これは日本の企業全般に言えることで、世界がより速く変わっていく中で、日本の企業は変化しない、したとしてもゆっくりです。これが世界の競合に後れを取っている理由の1つでもあると思います。

社名変更も検討

次は実行の段階とのことですが、具体的にはどのように進めますか。

ギルソン 22年4月から組織を改編します。人事、財務、法務、研究開発(R&D)など、着手しやすいコーポレート部門から改編を始め、その後各事業部に広げます。具体的には、生命科学インスティテュート(LSII)や田辺三菱製薬(MTPC)といった事業会社との組織の壁をなくし、会社ごとのリポートラインを廃し、事業会社ごとの組織運営や管理も終了します。持ち株会社によって多くのグループ会社を管理する今の手法は時代遅れです。特に三菱ケミカルホールディングスには500以上ものグループ会社があり、そのような多くの法人を統括するのは事実上不可能です。

 今後は三菱ケミカル(MCC)の社員も、MTPCの社員も“One Name”、1つの会社で働くということです。ホールディングスの在り方や社名変更も検討中です。