グループ各社の事業はどのように運営されるのでしょうか。

ギルソン 今後は各社に取締役会を置かず、各部門のトップが直接、当社の取締役会や投資家に対して報告をする仕組みになります。また、これまでのように課長から部長に、部長からさらにその上長にと報告を上げていくのではなく、部門内でも現場の社員は直接各部門のリーダーに報告する仕組みに変えます。リポートラインが長いと責任の所在が分かりにくくなり、上層部と現場の距離も遠くなります。レイヤーを全て取り除くことで、明白な説明責任を持つことができるのです。

成長率を高めるための施策はどのように考えていますか。

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「社会課題解決の貢献と事業成長を両立」(写真:吉澤 咲子)

ギルソン 成長率が低い状態にとどまっている理由はいくつかあります。まずグローバル市場に合わせた組織づくりがされていなかったためです。優れた製品をたくさん持っていても、海外で営業をしなければ意味がありません。例えば日本の顧客に比べて米アップルや米インテルと密にコンタクトしていないのは、エレクトロニクス事業で米国やアジア太平洋地域の市場に向けた営業活動をする組織を持たないからです。

 今後はグローバルのどのエリアで、どのような分野の製品化が活発なのかを研究していきます。特に注目しているのはエレクトロニクスや半導体、モビリティです。当社は多くの自動車関連製品を持ち、トヨタ自動車と多くの取引をしていますが、米国や欧州のメーカーとはできていません。

 企業や事業の成長に必要な要素は3つあります。第1に営業活動を活発化させるか、より優れたセールスプロモーションを実施すること。第2に販売するエリアを拡大すること。第3に新製品を開発することです。

 1つ目と2つ目は比較的簡単ですが、3つ目は時間もコストもかかります。当社はこれまで組織のグローバル化に向けて様々な角度から検討を重ねており、既に最終段階に入っています。大切なのは市場に合わせた組織であって、製品に合わせた組織ではありません。これは非常に大きな変革ですが、将来の成長にもつながり重大な意義があります。

 グローバル市場に打って出るためには、販売プラットフォームをつくることも重要です。例えば米アマゾン・ドット・コムは、世界中のどこからでも同じインターフェースのシステムにログインし、在庫さえあれば簡単に商品を注文できます。商品が今どこにあるのか、どうやって配送されるのかを考える必要はありません。私たちも同じように世界中の営業担当者が同じシステムを使って簡単に発注できるプラットフォームを構築したいのです。

 現在はグループ各社が違うシステムを使っており、実際にはまだ1つの組織として会社経営をしているとは言えない状態です。このようにビジネスプロセスも変えて、組織としてのインフラづくりも進めますが、これには時間がかかるでしょう。