聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所副所長)

新企業理念を打ち出し、パーパスをよりどころに「すこやかな食」の創造に取り組む。持続可能で豊かな社会の実現に貢献する「ウェルネスカンパニー」へと生まれ変わる。

2021年に新企業理念を定めました。その特色について教えてください。

太田 栄二郎(おおた・えいじろう)
太田 栄二郎(おおた・えいじろう)
森永製菓 代表取締役社長
1959年生まれ、兵庫県立姫路西高校卒業、82年同志社大学商学部卒業後、森永製菓入社。取締役 営業本部長委嘱、上席執行役員、常務執行役員、専務執行役員などを経て、2019年6月から現職(写真:吉澤 咲子)

太田 栄二郎 氏(以下、敬称略) 創業120周年の19年に9代目の社長に就任するにあたって、どのような会社にすべきかを考えました。120年の歴史を振り返り、行き着いたのは、様々な危機を乗り越えてきた当社の「永続性」こそ、大事にすべきということでした。当社は、1800年代後半の日本に栄養価の高い西洋菓子を広めたいという創業者の挑戦から始まっています。その利他の精神を礎とし、従業員一人ひとりが活躍する経営で永続的に発展することが、当社に関わる全ての人の幸せにつながると考えたのです。こうした思いから、当社の将来に向けての在りたい姿・存在意義を考えてみようと従業員に意見を募ったところ、約1000人から意見が寄せられました。それらを基に定めたのが、「世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」をパーパス(存在意義)とする新企業理念です。このパーパスを全ての企業活動のよりどころにしていきます。

新企業理念とともに、「2030ビジョン」も発表しました。

太田 パーパスの実現に向け、30年に在りたい姿として2030ビジョンを策定し、「ウェルネスカンパニーへ生まれ変わる」と宣言しました。「森永製菓は総合菓子メーカー」と認識していた従業員はこの宣言に戸惑いましたが、会社が大きく成長した今、従業員にこのままでいいと思ってほしくない。その強い思いを「生まれ変わる」という表現に込めました。

 具体的には、心と体の健康をお客様と従業員に、環境の健康を社会に提供し続けることをウェルネスカンパニーと定義し、既存の「inゼリー」や「おいしいコラーゲンドリンク」などに加えて商品開発を強化し、「体の健康」に貢献していきます。一方、「心の健康」は分かりにくいものですが、お菓子には食べて幸せを感じるなどの情緒的な価値があります。その価値を、外部の研究機関とも共創しながら科学的アプローチで解明していきます。さらに、バリューチェーン全体が持続可能となるように気候変動やフードロスなど社会課題に取り組み、「環境の健康」に寄与していきます。

■ 森永製菓グループの新企業理念
■ 森永製菓グループの新企業理念
出所:森永製菓
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