聞き手/藤井 省吾(日経BP 総合研究所 主席研究員)

飛沫を可視化できる「微粒子可視化システム」など、独自技術でコロナ禍の社会課題解決に貢献している。従業員の安全確保と健康維持に注力し、ダイバーシティの推進で人的資本の価値向上を図る。

「微粒子可視化システム」など、独自技術がコロナ禍における社会の課題解決に貢献しています。

前川 伸二(まえかわ・しんじ)
前川 伸二(まえかわ・しんじ)
新日本空調 代表取締役社長
1983年東京理科大学卒業後、新日本空調入社。2018年執行役員首都圏事業本部関東支店長、20年取締役上席執行役員首都圏事業本部リニューアル事業部長、21年6月より代表取締役社長兼経営企画担当(現任)(写真:大槻 純一)

前川 伸二 氏(以下、敬称略) 微粒子可視化システムは、空気中や水中に浮遊する微粒子の動きを観察できます。コロナ禍で多くの企業や団体から、空気中の飛沫可視化について依頼を受けています。

 代表例がオーケストラです。管楽器奏者の飛沫を可視化・計測し、演奏者や聴衆との間にどの程度の距離が必要かを検証することで、演奏会の再開につなげました。その他、建築現場でマスクの代わりに息苦しさを軽減するマウスシールドを使用した場合の効果を調べたり、剣道や空手で発声する際の飛沫飛散状況の調査を行なったりしています。

空調設備システムは都心の大型再開発案件などに導入されています。どんな点が評価されていますか。

前川 当社は熱源最適制御システム「EnergyQuest」を開発し、空調設備に搭載しています。熱源機器の使用率などのデータを基に、最小エネルギーで効率良く運転ができます。一層の省エネが求められる中、重要な技術との評価をいただいています。

「会社の方針」の1つに「労働安全衛生」を掲げ、2021年度には「健康経営宣言」を定めました。

前川 建築設備工事に携わる当社は、現場での作業が不可欠です。作業員は経営の根幹を成す重要資本であり、安全の確保と健康の維持は経営の基盤です。21年度は労働災害が35件ありました。休業4日以上のケガが生じた災害は5件です。これをゼロにすることが目標です。

 安全意識の高揚と意識改革を図るため、「現場」に赴き「現物」を確認し「現実」を認識した上で「原理」にのっとって「原則」をつくり問題解決を図る「5ゲン主義」を徹底しています。安全管理について「安全に関する役割拝命者とその責務を明確にする」など、見直し策6項目も掲げて実施しています。

 従業員が心身の健康維持を図り、自由でかっ達な発想力をもって仕事に取り組める職場環境を作ることも、重要な経営課題と捉えています。22年3月には、従業員の健康を大切に考え実践する企業として、経済産業省と日本健康会議が選ぶ「健康経営優良法人2022」に認定されました。