聞き手/安達 功(日経BP 総合研究所フェロー)

住まいと暮らしに関わる幅広い事業を通じて、持続可能な社会の実現を目指す。気候変動対応方針の策定、新築マンションのZEH化など積極的に課題解決に動く。

2020年4月に社長に就任しました。この2年間を振り返ってみていかがでしょうか。

池上 一夫(いけがみ・かずお)
池上 一夫(いけがみ・かずお)
長谷工コーポレーション 代表取締役社長
1957年生まれ。80年早稲田大学理工学部卒業、長谷 川工務店(現長谷工コーポレーション)入社。2008年執行役員、09年執行役員 設計部門エンジニアリング事業部長、11年取締役執行役員、14年取締役常務執行役員、17年取締役専務執行役員、20年4月から現職(写真:吉澤 咲子)

池上 一夫 氏(以下、敬称略) 社長就任直後に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出され、当初は販売センターの閉鎖など対応に追われました。出社制限もかかり、テレワークや会議のリモート化などIT(情報技術)環境も急きょ整えました。その点に関しては、以前より事業継続計画(BCP)の観点からIT環境を整備していたことと、12年前から建物をコンピューターの3次元上で立体的に設計するビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)を導入するなどデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進してきたことが奏功しました。建設業におけるデジタル化は日本の住まいを豊かにすると考え、業界に先駆けて取り組みを進めてきましたが、それがコロナ禍によ1る環境変化へのスムーズな対応につながったと考えています。

ESGについては、どのような体制で取り組んでいますか。

池上 取締役会の下に、私が委員長を務める「CSR委員会」を設置し、当社各部門役員およびグループ各社の社長が参加しています。同委員会で決定した内容は、下部組織のCSR推進会議および環境推進会議を通じ、グループ全体の戦略として落とし込まれます。ガバナンス体制としては、豊富な経験と実績を持つ社外取締役を3分の1以上(取締役13人中、社外取締役5人)選任し、健全な経営監視機能を確保しています。

気候変動対応方針を策定

気候変動や脱炭素への取り組みについて教えてください。

池上 環境への取り組みを強化するために、21年1月に全社をあげての推進を促す旗を掲げ、同年12月に長谷工グループ気候変動対応方針「HASEKO ZERO-Emission」を策定しました。これは、「50年カーボンニュートラル」を目指し、気候変動への取り組み姿勢を明確にしたものです。本対応方針にのっとり、パリ協定と科学的根拠に基づく目標(SBT)に準拠したCO₂排出量削減をスコープ1、2では「1.5℃目標」、スコープ3では「2℃目標」と設定し、全建設現場で使用電力の100%再生可能エネルギー化や環境配慮型の「H-BAコンクリート」の採用提案を進めていきます。併せて、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明し、情報開示も行なっています。