聞き手/桔梗原 富夫(日経BP 総合研究所フェロー)

2030年に在りたい姿からバックキャストでグループビジョンを策定、ESG経営を強化した。人材が最も重要な資産と位置付け、働きやすいオフィスや制度をつくることに力を入れる。

経営戦略上、ESGをどのように位置付けていますか。

宮本 聡(みやもと・さとし)
宮本 聡(みやもと・さとし)
古河電気工業 取締役 兼 執行役員専務 戦略本部長
1962年東京生まれ。84年東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。2016年経済産業省中小企業庁長官、17年同省退官。同年古河電気工業顧問、18年執行役員総務・CSR本部長、19年取締役兼執行役員常務、21年ビジネス基盤変革本部長を経て22年より現職(写真:吉澤 咲子)

宮本 聡 氏(以下、敬称略) 基本理念に「世紀を越えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献」するとうたっています。

 1884年に創業した古河市兵衛の「従業員を大切にせよ、お客様を大切にせよ。新技術を大切にせよ。そして、社会に役立つことをせよ」という言葉が示すように、ESGやSDGsの考え方は当社のDNAに組み込まれています。

 「古河電工グループ ビジョン2030」は2030年に在りたい姿を考え抜き、経営上の重要課題として収益機会とリスクの両面から検討してバックキャストの手法で策定しました。リスクに関してはESG経営の基盤強化を進めていきます。ビジョン2030の達成に向けた中間のマイルストーンとして25年までの中期経営計画を22年5月に公表します。

現在の事業ポートフォリオについて説明してもらえますか。

宮本 注力している事業分野は「情報」「エネルギー」「モビリティ」の3つです。情報分野では光ファイバーや5Gなど高速通信ネットワーク向け製品やソリューションの提供で社会インフラの構築を支援します。エネルギー分野では安定した電力輸送が可能な電力ケーブルで再生可能エネルギーの拡大に寄与します。モビリティ分野は自動車向けワイヤーハーネスなどの部品から自動運転の安全性強化や高度化に貢献します。これらの3つが融合した社会基盤を創り、地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現することを目指しています。

従業員第一の体制を構築

ビジョン2030達成に向けて人材育成に力を入れています。

宮本 「People Vision」を掲げ、従業員のありたい姿をグループ内で共有して、多様な人材が自律して活躍できる体制を構築しています。人材は最も重要な資産であり、創業理念にもあるように従業員を第一に考え、働きやすいオフィス環境や制度をつくることに力を入れています。